第2話 ハプニング

「あー、久しぶりにショッピングしたなぁ~」



私は一人、ショッピングから帰っていた。


その途中 ――――




「こらーーっ!」



ビクッ


背後からの怒鳴り声に驚く。



タッタッタッ……


誰が背後から駆け寄って来るのが分かった。



「劉騎ーーっ!」



振り返る私。



ドキッ


すぐ後ろに来ていた。



「どけっ!」



ドンと突き飛ばされた。



「きゃあっ!」



ドサッ


ドサドサ……


バランスを崩し地面に倒れる私。




「ったぁー」

「悪ぃ。急いでんだ!じゃあっ!」

「なっ…!何て奴!?今の…最低ーーっ! 」



そして、すぐ後を追っている別の男の人が駆け寄って来る。




「全く!アイツは……逃げ足だけは速いんだから……。君、大丈夫?怪我してない?」

「あっ……はい…」




その人は荷物を拾うのを手伝ってくれた。



「はい」と、男の人。


「あ、すみません…ありがとうございます」



そして、私達は別れた。




数日後、用事から帰っている時の事 ――――



「にゃあ~」



振り返る私。



「猫…あれ?…もしかして…あの時の…どうしてまた?」

「にゃあ~ん」



私の足元をスリスリする猫。




「猫ちゃん、御主人、心配しているんじゃない?」



私は腰を降ろし猫を抱きかかえる。


その直後だ。



「セナー、セナー、おーい、何処にいるんだ?」

「にゃあ~」

「もしかして…セナ?」


「にゃあ~ん」


「あっ!お前、ここにいたのか?全く…お前は」


「これ、あなたの猫?」

「ああ、そうだけど」

「あなた…確か前にも…」

「そう?悪い、覚えてねーわ。それより猫返せよ!」


「言われなくても返すし!はいっ!ねぇ、猫、きちんと見てもらわなきゃ、この前、私の部屋に来ていたんだけど!」


「へぇー、そう。で?何?」

「何?って…」

「来てもらいたくなかったら部屋の窓とか鍵掛ければ良くねー?」


「なっ…!それは…」

「つー事で帰るわ!」



そう言うと男の子は去って行った。



「もうっ!何なの?感じ悪いっ!性格悪いっ!」



ある日の学校帰り、毬恵とも別れ、ぼんやりして帰っている時の事だった。



すると ――――



スタッ


私の前に突然の人影が現れ地面に着地。



「きゃあっ!」



ドサッ

驚きと同時に尻もちをつく。




「ったぁー」


「悪ぃ」




走り去る男の子。



「ちょ、ちょっと!待ちなよ!」




男の子は走り去った。



「何なの?アイツ…マジムカつく!」




私はゆっくりと立ち上がる。




しばらくして ――――




「なあ、そこのお下げ髪女」



私はまさか自分とは思わず、そのままスルーする。



「おいっ!」




スタッと私の目の前に着地する。



ビクッ



「きゃああっ!な、何よ!驚かさないで!」

「悪ぃな!つーか、人が呼んでいるのに気付かないお前が悪いんだろう?」

「私って思わないから!人違いだったら嫌だし」

「お前以外いないから!」

「えっ?」



辺りを見渡す。



「つーか、お前と良くぶつかろうとしてるよな?」


「知らないわよ!あなたが、危険な行動するからでしょう?」

「お前のタイミングが悪いだけだろう?」

「違います!」



顔をのぞき込むようにすると、私のお下げ髪に触れ引き上げる。




ドキン

私の胸の奥が小さくノックした。



「このお下げ髪が、お前のチャームポイントだよな?この髪、ずっと変えてねーだろ?」


「えっ?それは…確かに変えてないけど……ていうか関係ないでしょう?」


「ないけど……お前とは何回目だ?かなりの確立会ってる気がするんだけど?確か……3回以上」



パッと離す男の子。



「…………」



すると、私の髪が解ける。



≪…えっ…?≫



「お下げ髪も良いけど、たまにはイメチェンしたら?」



そう言うと私の去り始める。




「あっ!ちょっと…ヘアゴム…」

「ポケットの中入ってるけど?」

「えっ?」



私は探ってみる。



「あっ……」



「後、セナって猫、お前に妙になついてるけど体にマタタビつけてんだろう?」


「えっ? ま、マタ、マタタビ!?」


「そう!猫の大好物。それとも妙になつくから珍しい生物に興味津々なのか?」


「珍しい生物って失礼な人……私は人間なんだけど!」



クスクス笑う男の子。



「なあ、お前、名前何?」

「えっ?」

「名前あんだろ?それとも名前のない生物?」

「だから生物じゃないからっ!」



再びクスクス笑う男の子。



「俺、劉騎。橘 劉騎(たちばな りゅうき)つーんだけど……」


「橘…劉騎……。私は…郁海……佐久間 郁海…」


「佐久間…郁海……?そっか…。セナがまた行ったら宜しくなっ!それじゃ」



去っていく男の子。


橘 劉騎。




私達は別れた。

















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