幼き頃の男の子に会いたくて
ハル
第1話 出逢い
私の名前は
佐久間 郁海(さくま いくみ)。
⚪⚪高校に通う、2年生。16歳。
性格は明るく元気で多少強気な女の子って所かな?
恋人いない歴、約1年。
中2の時から高1の初め迄付き合ってたけど、別の高校に行くようになって会う事がなくなり元彼は、同じ高校に好きな人をつくった。
ありきたりな話だ。
「郁海、近々、髪を切ろうと思うんだけど、どんな髪型が良いかな?」
親友の
井田橋 毬恵(いたばし まりえ)
彼女は保育園の頃からの付き合いで大親友だ。
「好きな様にしたら?ヘアカタログの雑誌見て切ると良いよ」
「それでも良いんだけど、何か心機一転出来る様な違う髪型にしようと思ってんだ」
「そうなんだ!じゃあ……モヒカン!」
「…えっ…?ええっ!?も、モヒカンっ!?って……ちょっと酷いよぉ~」
「だって心機一転したいんでしょう?」
「あのねー」
「案外目立って良いかもよ?」
「その前に校則違反じゃん!」
私達は騒ぐ中、少し先の前方から
「こらーーっ!」
ビクッ
怒鳴り声が聞こえた。
「劉騎(りゅうき)ーーっ!また、お前はーー待たんかーーっ!」
「な、何?」と、毬恵。
「さあ?」
「こらっ!劉騎っ!」
「よっ!」
門の塀に乗る男の子の姿。
「また、お前はそうやって!」
「先生、それ似合ってますよ。油性ペンじゃないので安心して下さい。じゃあねー、先・生」
「あっ!こらっ!」
スタッと地面に着地する男の子の姿。
一瞬、私達の方をチラッと見ては小走りで去っていく。
「全く!アイツは…」
そして私達は先生と目が合う。
先生の顔には髭が描かれていた。
「やだ……」と、毬恵。
「先生、イイ男が台無しですね」と、私。
「ちょ、ちょっと!郁海っ!」
「毬恵も、そう思わない?」
「わ、私に振らないでよ!」
「だって、他に誰がいるの?」
「あのねー」
「先生、早く顔を洗ってイイ男に戻って下さいね!行こうっ!」
「あっ!ちょ、ちょっと待ってよ!郁海っ!」
私達は、その場を去った。
さっきの高校は、⚪⚪第一高校。
彼とは、その時が初めての出逢い……のはずで2回目なんてあるはずないんだけど……
そんな私達の運命を変える
ある日の休日の事。
「郁海ーー、ちょっとーー」
リビングからママが叫ぶ。
「はーい。なーにー」
「下に降りて来てー」
カチャ
部屋から出る私。
「何?」
「これを田中のおじいちゃんの所に渡して来て貰える?」
「えっ!?私が?」
「あなた以外に誰がいるのよ」
「ママが自分で行って……」
スッと、私の手を掴み荷物を渡す。
「はい、お願いね」
「えっ!?あっ!ママっ!」
ママは去って行く。
「もう…!」
私は仕方なく行く事にした。
そして、家の前に着いた直後 ――――
スッと私の前を通る。
「えっ?な、何?今…」
「にゃあ~」
ビクッ
猫の声に驚く。
「うわっ!ビックリした!」
「おいっ!セナ」
ビクッ
猫の名前と思われる名前を呼ぶ人影に再び驚く。
振り返る私。
ドキッ
目が合う私達。
「にゃあ~」
「セナ、来いよ」
「にゃあ~」
私の周囲をウロウロする猫と飼い主。
「ちょ、ちょっと!人の周囲をウロウロしないでくれる?」
「猫に言えよ!」
「なっ…!猫は自由気ままなんだから、今、ここで強制的に捕まえる必要あるんでしょうか?それとも、しつけがなってないとか?」
「それは違うっ!」
「じゃあ、イタズラしたとか?そういう事すると動物ってなつかないしっ!」
「そんな事はしていない!」
「じゃあ呼んでも寄って来ないのは理由があるわけでしょう!?ちょっと荷物を持っててっ!ほらっ!早くっ!」
「なっ…!初対面のくせに…」
「何よ!……セナ~、おいで~」
「にゃあ~ん」
「キャー♪来た、来た♪可愛い~♪セナ~、御主人の言う事、聞くんだよ~」
そして、猫と荷物交換し私はおじいちゃんの家に行き用事を済ませた。
それから数ヶ月が過ぎたある日の事 ―――
「…んー…な、何か…重…い…」
私は目を覚ます。
ドキーッ
私の目の前にドーンと得体の知れぬ何かに驚く。
「きゃあああっ!」
バサッ
布団を剥ぎ取る様にするとベットから慌てて降りる様に離れる。
ドキドキ……ドキドキ……
心臓が爆つく。
「一体……何…?」
布団がモソモソと動き
「にゃあ~ん」
「ね…猫ちゃん!?」
私の足元をスリスリとする。
「可愛い~♪迷子の仔猫ちゃん?だけど…首輪してるから飼われてるのかな?猫ちゃん、私は今から学校だから早く帰るんだよ」
私は制服に着替え学校に行く支度をする。
すると猫の姿は、既にいなくなっていた。
「あの猫…何処かで……まあ…良いか……」
私は学校へ行った。
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