第3話 医師の予言
意地悪な先生だな〜。て、思ってた。
令和元年10月16日の水曜日の事だ。僕はその日もデイケアに参加しアイロンビーズ制作に夢中になりながらも、同系列の病院にて診察の時間を待っていた。
午後、デイケアに内線が掛かり病院へ足を運ぶ。同時に呼ばれたおじさんと軽くお話をしながら。
僕はおじさんに「アルコールですか?」と問うと、
おじさんは「はい。前にアルコールで入院していましてね。」
僕、「今は平日毎日デイケアに通られているんですよね?断酒何年されているのですか?」
おじさん、「いや、飲んでますよ。前ほどじゃないけど、毎日3〜4缶は飲むかな〜。」
辞めれてないじゃん!なのにしれっとデイケア通ってるし!前日だけ禁酒をするって決めた僕は、もしかして飲み過ぎなきゃOK?
いやいや、そこは自分で決めたルールだから、今後もストイックに行こう!
何せ僕は余程の雨、嵐でない限りは毎日ジョギングをするスポーツマンなのだから!それで行こう!そう決めたんだし!
まさか、「そのストイックさ必要ないよ」と言われるなんて1mmも想像してなかったさ…。
受付で待っていると、すぐに診察に呼ばれた。受診だけで通っていた時の毎回2時間待たされていたのと比べると大分時間に有効的だ。
主治医の前に座り近況を語った。
「退院後とても調子良いですよ。毎週デイケアにも通ってますし、毎日計画を立てて、何かしらの達成感があって鬱になる気もしない。離婚した家族の事も考えないように割り切って生活していますし、先生!何よりジョギングですよ!ジョギングは頭の中を一度リセットして良い事とか良いアイディアが生まれてくるんです!何より鬱にとても有効だと思っているんですよ!」
主治医から「それは素晴らしい!完璧だ!」と言われて拍手喝采なんて事は無く、
「渡辺さんは今躁転しているのに気付いていませんか?今後テンションを下げていく訓練をしていく必要がありますね。
ジョギングなんて毎日無理してする方が危険だ。
これから、必ず鬱期が来ます。すごく絶望を味わうでしょう。その時、どう自分が鬱と向き合っていくか、経験してみて下さい。」
は?ふざけるなよと思ったね!何て意地悪な先生なんだ!僕は絶対鬱期が来てもジョギング一発で治してみせる!と心の中で叫んでいた。
しかし、もっと意地悪なのは僕自身の体だ。
雨の中でもジョギングをしていたせいなのか、友人と夜お酒を飲みに行ったせいなのか。(いや、完全に後者であるが)
令和元年10月20日の日曜日、完全に風邪を引いてしまい、ジョギングもできない日々。
ろくにシャワーも浴びれない日々。
ろくに食事もとれない日々が始まってしまった。
20日は本来スポーツバーで日本開催のW杯ラグビーの日本初トーナメント戦。
相手は強豪南アフリカ。こいつの観戦をしながらビールのハイネケンを飲みながらバーではしゃぎたかったのだが、断念し、部屋の布団の上で唸りながらテレビ中継を見ていた。
日本の選手は試合に敗れたものの日本国民からヒーロー扱いの眼差しが贈られ、僕はひたすら咳をしながら自身に対して哀れみの眼差しを贈っていた。
本日、令和元年10日24日の木曜日。日曜の夜を風邪で迎えた今日までの記録がこうだ。
月曜日、風邪最悪、外は雨、食事摂れず、ひたすら寝るだけ。
火曜日、天皇即位礼正殿の儀が行われている中、一瞬の晴れ間を狙って外出。やっと食事を摂る。そして明日には治っているだろうと期待して寝まくる。
水曜日、風邪一向に良くならない。特に咳がひどい。結果、デイケアを休む事になる。押し寄せてくる自責の念。それに打ち勝とうと何かしらを試みる。試みた結果何も解決しない。コンビニでカップ麺と栄養ドリンクを摂取。結局眠気が勝る。鬱の前兆も垣間見えながらも、何とか無事に過ごせた。
本日、相変わらず風邪。鬱の前兆が垣間見えてしかたがない。
しかし、シャワーや洗濯と何とか気分の切り替えを図る。そして、今(その当時)、執筆活動をし、何とか今日を無駄にしない生活を送れた事ができたと思う。
今夜が山場かもしれない。鬱よ!来るなら来やがれ!そしたらたっぷりこの小説に格好の材料にして料理してやるぞ!
とにもかくにも、鬱以前に風邪が良くなりますように…。
第4話 やっぱり鬱になりまして に続く
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