第弐話 【 二人の妖狐 】

「うおおぉい!! 離せぇぇ!!! がおぉぉぉ~!」





 灰夢かいむに捕まっている、耳を生やした少女が、

 その手を振り解こうと、バタバタと手足を振るう。


 灰夢は少女を、初めに来た少女と見比べていた。


 なぜなら、その降りてきた少女と先ほどの少女が、

 コピーの様に、そっくりな見た目をしていたからだ。


( 性格は、だいぶ違うか )


 暴れる少女を観察し、足元で見つめる少女に告げる。


「なぁ、お前のドッペルゲンガーでてきたんだが……」

「姉さん、です……」

「姉か、なるほど……。いや待て、似すぎだろ」

「双子、だから……」

「……マジかよ」


 そんな話をしている灰夢を、捕まった少女がキッっと睨む。

 


「──私の妹を返せッ!!!」



 手に捕まっている少女が、小さな手で灰夢を掴むと、

 灰夢の体から、目に見えない何かを吸い取っていた。


「これ、三匹、四匹、五匹って増えてったりしねぇよな?」



 ──だが、灰夢は気づきもしなかった。



「何、この男……。吸っても吸っても精気が全然減らないっ!?」

「……精気?」


「風花、たちは……。生き物から、吸魂できます……」

「ほぅ~。そいつはまた、変わった能力をお持ちで……」


 説明する妹の言葉に、灰夢が納得しながら観察する。


「私の吸魂で、お前の精気を全部を吸い尽くしてやるッ!」

「俺は別に構わねぇが……。多分、お前が先に爆発すんぞ……」


 灰夢の言葉に耳を貸さずに、姉はひたすら吸魂を続けていた。

 すると、足元にいた妹の少女が、姉の方を向いて冷静に告げる。


「姉さん……。この人、私に……。ご飯、くれた……」

「……ほんとに?」

「……他には、何も……されてない、よね?」


 自分が灰夢の膝の上にいたことが、やや不安になる妹。


「おい、なんで疑問形なんだ?」

「私の何したのっ!? 素直に言いなさいっ!」

「いや、何もしてねぇって……」

「じーーーーーっ……」


 威嚇をやめない姉に、灰夢が焼いていた魚を見せる。


「……お前も、一緒に食うか?」

「怪しい、絶対に何か企んでる……」

「そう怖い顔するなよ、可愛い顔が台無しだぞ?」


 捕まったままの少女が、灰夢をじーっとにらみ、

 何としても信じまいと、疑わしい点を必死に探す。


「だって、目つき悪いもん! お前、悪人面だもん!」

「事実だとしても、初対面の相手に失礼すぎんだろ」

「人間の男はみんな狼だって、山のみんなが言ってたっ!」

「まぁ、確かに俺は狼だから、否定はしねぇ……」

「後から取って食うか、捕まえて売り飛ばす気なんだっ!」


 姉の発した言葉を聞いて、妹の顔が徐々に青ざめていき、

 後ずさりしながら、ドン引きした目で灰夢の顔を見つめる。


「……そぅ、なの? お兄さん……」

「……お前も信じるなよ」


「私は騙されないぞ、コノヤロー!」

「ったく、よく動く口だなぁ……」


 灰夢が姉の口の中に、持っていた鮎の塩焼きを突っ込む。


「うぐっ……。お、おいしい……」

「少しは、話を聞く気になったか?」


 突っ込まれた塩焼きを、姉の方が凄い勢いで一気に食べ終えると、

 一瞬だけ幸せそうな顔をしてから、照れ隠しをするように答えた。


「も、もっとたくさん、食べさせてくれるなら……」

「あ〜、そうだな……」


 そう言われて、灰夢と妹が焚火の方を見つめながら、

 食べ終えた魚の残骸ざんがいを前に、気まずそうに告げる。


「もう、だいぶ……。食べちゃった、です……」

「……そっか」


 姉の方の少女が、妹の呟いた言葉を聞いて残念そうに俯く。

 すると、灰夢が何かを思い出したように、少女を降ろした。


「……ちょっと待ってな」

「……?」


 灰夢がそのまま川に向かって行き、川岸でしゃがみこむ。


「……何してるの?」

「さっき罠を張ったから、入ってっかと思ってな」

「……罠?」


 灰夢が仕掛けてあった罠を持ち上げると、中には魚が入っていた。


「──おぉ~!!」

「あ~、思ったよりすくねぇな」


 網の中の魚を見て、姉の方が目をキラキラと輝かせる。


「──ハッ! 魚だけで満足する程、私は安くないもんっ!」


 一瞬でた素顔を誤魔化そうと、口笛を吹きながら姉が呟く。


「そうか、なら……」

「……?」


 灰夢が焚火の前に戻ると、土鍋で炊いていたご飯をお茶碗に盛り、

 クーラーボックスから魚の煮付けを取り出すと、ご飯の上に乗せた。


 それを見た姉妹がキラキラした瞳で、堪らず揃ってヨダレを垂らす。


「す、凄く……。美味しそう、です……」

「ほら、焼けるまではこっち食ってろ」


 灰夢からご飯を受け取ると、妹がペコペコとお辞儀をする。


「ありがとう、です……。狼の、お兄さん……」

「おかわりもあっから、欲しけりゃ言え……」


 そして、同じ盛り付けを姉の方に渡すと、

 姉は照れ隠しをしながら、小さく呟いた。


「しょ、しょうがないから、話だけは聞いてあげる……」

「素直じゃねぇなぁ、妹を見習え……」

「なんだとぉ~! このやろ~っ!」


 灰夢は罠から取り出した魚を、全て棒に刺すと、

 再び地面に座りながら、三人で食事を囲み始めた。



 ☆☆☆



 灰夢がご飯を食べる二人を見つめながら、言葉を投げかける。


「俺は不死月しなづき 灰夢かいむってんだ。……お前らの名前は?」


 その何気ない質問に、臆病で物静かな妹の方が、

 自信のなさそうな小さな声で、そっと答えていく。


狐魂ここん 風花ふうか、です……。かぜの、はなって書いて……。風花ふうか、です……」


 そこに横槍を刺すように、姉の方の少女が答える。


「ふんっ! 知らない人には教えないもんっ!」

「答えねぇと魚やんねぇぞ、ツンデレ狐……」

「うぐっ……」


 必死に意地を張るも、一瞬で空腹の欲に負ける姉の心。

 そして、悔しそうな顔をしながら、姉も灰夢に答えた。


鈴音すずな……。すずおとって書いて、鈴音すずな……」

「チョロいな、お前……」

「──聞こえてるんだよぉ!!」

「聞こえるように言ってんだよ。ほら……」


 喧嘩を買うように答えながらも、灰夢が焼けた魚を渡す。


「……全部、食べ尽くしてやる」

「ふっ、その意気だ……。食える時に、たらふく食っとけ……」


 その告げる灰夢を、鈴音がキョトンとした顔で見つめる。


「……なんだ?」

「……いいの? いっぱい食べて……」

「あぁ、こんなに一人で食いきれねぇからな」

「そっか、えへへっ……」


 嬉しそうに微笑む鈴音を見て、灰夢が小さく微笑む。


「さすが、双子だな」

「……ん?」

「いや、なんでもねぇ……」


 そういうと、灰夢は次の魚に串を通し、焚き火のそばに刺す。

 そんな時間を過ごしていると、鈴音が灰夢に疑問を問いかけた。


「人間なのに、なんで鈴音たちに優しくしてくれるの?」

「……おかしいのか?」

「いや、みんな『 怖い 』っていうから……」

「あ〜、まぁ……。初めは、疲れすぎた幻覚かとも思ったんだが……」

「……えっ?」

「とりあえず話が通じて、飯が食えてんなら大丈夫だろ」

「……?」


 普段の日々の疲れから、擬人化した猫を疑ったとは、

 さすがの無神経な灰夢も、子供相手には言えなかった。


「変わってるね、灰夢くん……」

「あぁ、よく言われる」

「言われるんだ……」

「まぁ、【 妖魔ようま 】の類を見たのも初めてじゃねぇしな」


 その一言に、風花と鈴音の表情がピクッと固まる。


「……気づいてたの?」

「そりゃ、『 吸魂 』だの『 ケモ耳 』だの見りゃ分かるだろ」

「なら、なんで……」

「お前らのことが言えねぇくらい、俺も普通じゃねぇからな」

「そう、なんだ……」


 冷静に答える灰夢を見て、二人の中の警戒心が消えていく。


「そういや、風花も似たようなこと言ってたな」

「……?」

「お前らって、そんなに怯えられるのか?」


 その言葉を聞いて、鈴音がうつむきながら語り始めた。





「人間は、鈴音たちを決して受け入れようとはしてくれない。

 村人たちもみんな、揃って私たち二人に敵意を向けてくる。


 一緒にいると『 お前らは疫病神やくびょうがみだ 』って……

 災いをもたらすとか、死を招くとか、不幸になるって言われる。


 鈴音たちを見て逃げる人もいれば、石を投げつけてくる人もいる。

 外から来る人は『 珍しいから 』って、捕まえてようとしてくる。


 確かに、妖魔ようま同士は互いの妖力を感じ取れる。

 だから、鈴音たちと一緒にいると、他の妖魔が出たりする。


 それに、私たちは妖魔の中でも特別な力があるから、

 我が物にしようと近づいてくる妖魔もたくさんいる。


 でも、お父さまは人間だったから、私たちは半分が人間。

 何らかで妖力を使わなければ、外に妖力が漏れたりしない。


 それに、別に私たちは、別にどちらにも危害を加えたりもしない。

 それでも、私たちは存在するだけで人間にも妖魔にも狙われるの」





 そんな話を聞いて、灰夢が火を見つめながら言葉を返す。


か。どんな場所でも変わらねぇな」

「……えっ?」

「なんでもねぇ……。てか、よく今まで無事だったな」

「……なんで?」

「だって、妖魔とか人間が捕まえに来るんだろ?」

「……うん」

「そんなものを相手に、よく今まで逃げてこられたな」


「ふふんっ! 鈴音たち、これでも凄〜く強いだからね!」

「いつも暴走して、暴れてるだけ……」

「──風花! そういうことは言わなくていいの!」


 胸を張って、灰夢にドヤ顔を決める幼女姉に、

 ボソッと一言横槍を刺す、意外と辛辣な幼女妹。



 ──すると、灰夢が、とあるワードに反応した。



「……妖狐ようこ?」


「……えっ? あっ……。違うの、鈴音たちは……」

「お願い、お兄さん……。風花たちは、ただ普通に……」


 多くの者が、名のある妖を捉えようと二人のことを襲う。

 灰夢もまた、その価値を知ったら人が変わるかもしれない。



 双子の間に、そんな不安が過ぎる──



 そんな緊迫した空気の中、灰夢はボソッと二人に問いかけた。



























       「 ……お前ら、猫じゃなくて狐だったのか? 」



























          「 ──いや、今更かよッ!!! 」



























          鈴音の全力のツッコミが炸裂した。



























      初めは灰夢を警戒していた鈴音も、


            いつの間にか、敵意が無くなっていた。



























 ご飯を食べ終え、灰夢が川で片付けをしていると、

 風花が後ろから近づき、灰夢にそっと話しかけた。


「もう……。帰らないと、です……」

「なんだ、門限でもあんのか?」

山神やまがみさまとの、約束です……。暗くなる前に、お社に帰らないと……」

「……山神さま? それは、お前らの親か何かか?」

「お父さまも、お母さまも……。もう、いないです……」

「…………」

「だから、今は……。山神さまが、風花たちを……守ってくれてる、です……」


 どこか寂しそうな顔をしながら、風花が答える。


「……そうか。なら、帰らなきゃだな」

「また、どこかで……。会えたら、嬉しいです……」

「きっと、また会えるさ。同じ釜の飯を食った仲じゃねぇか」

「……はいっ!」


 灰夢の言葉を聞いて、風花の顔に笑顔が戻った。


「また見かけたら逢いに来な。飯ぐらいなら、いつでも食わせてやっから……」

「……ほんと、ですか?」

「あぁ、【 友達 】のよしみでな」

「……友達?」

「そうだ……。同じ釜の飯を食った、友達だ……」

「そっか、えへへっ……」


 風花がニヤニヤとした顔を両手で隠しながら、走って離れていく。

 すると、入れ替わるように来た鈴音が、暗い顔で灰夢に話しかけた。


「ねぇ、灰夢くん……」

「……なんだ? 暗い顔して……」

「早いところ、帰った方がいいよ」

「……?」

「それでもう、ここには来ないで……」

「何だ、急に……。飯の味が気に入らなかったか?」

「鈴音も、そこまでひねくれてないよっ!」

「少しはひねくれてる自覚あるのかよ」

「まぁ、一応……」

「なら、他に何か理由でもあるのか?」


 不思議そうな顔をする灰夢に、鈴音が答える。





「近頃、森の様子がどこかおかしい時があるの。

 一部だけだけど、木々があちこちで枯れてたり。


 村の人も、おやしろにはお参りに来てたのに、

 もう、ここ数年、全く来なくなっちゃった。


 それもちょうど、五年くらい前に、

 お母さまが亡くなったあたりから……


 理由は分からないけど、村人も消えてるとか、

 そういう話も、ちらほらと聞くようになった。


 祟りとか、魔物がいるとか、そんな話も耳にする。

 だからもう、出来ればここには来ない方がいいよ。





 そう告げる鈴音の言葉を聞いて、灰夢が呟く。


「なぁ、鈴音……」


 灰夢が呼びかけながら、見下ろしていると、

 鈴音が不安そうに俯きながら、静かに震える。


 すると、灰夢は鈴音の頭を撫でながら告げた。



























    「 お前って、いつからそんなに俺の事、


            心配してくれるようになったんだ? 」



























 その言葉に、鈴音が見上げると、灰夢少し嬉しそうに微笑んでいた。


「べっ……別に心配してないし!」

「そうか〜? その割には随分と……」

「人が来ると迷惑だから、とっとと家に帰れって思ったのっ!」


 顔を真っ赤に染めながら、鈴音が灰夢に飛び蹴りをかます。


「痛ってぇっ! 何しやがる……」

「べぇ~っだっ! 灰夢くんがいけないんだもんねっ!」


 灰夢は何事もなく起き上がると、鈴音に優しく言葉を返した。


「まぁ、用が済んだら俺もさっさと帰るさ。忠告ありがとな」

「……灰夢くんは、死なないでね」

「そんな簡単に死ねたら、苦労してねぇよ」

「……?」


 どこか悲しそうに告げる灰夢を、鈴音が不思議そうに見つめる。


「大丈夫だ。俺は絶対に死なねぇから……」

「お母さまもね、そう言ってたの……」

「……なんだって?」

「なんでもないよぉ〜だっ! ふんっ!」


 鈴音はそっぽを向くと、再び風花と片付けを進め始めた。


「急ぐんなら先に行け。後は、俺が片付けとくから……」

「ご飯、凄く……美味しかった、です……」

「そうか、そりゃよかった……」

「灰夢くん、バイバイ……」

「あぁ、またな……」


 二人は分かれを告げると、山の上に帰って行った。


牙朧武がるむ。残りの魚、お前食うか?』

『……良いのか?』

『むしろ、お前の為に捕獲用の罠をしかけて置いたんだしな』

『……そうか。なら、ありがたく頂戴するとしよう』


 灰夢が心の中で、辺りには聞こえない声と静かに会話をする。

 すると、灰夢の影の中から、黒いモヤを放つ人型の獣が現れた。


「随分と、楽しそうじゃったな」

「最近は祠にも帰ってねぇから、言ノ葉と話してる時を思い出してな」

「ふっ、なるほどのぉ……」


 獣は灰夢の横に座ると、余っていた魚を一気に食べ尽くしていく。

 そんな姿に怯えることなく、灰夢が山の上を見上げて問いかけた。


「どう思うよ、この山……」

「何かはわからんが、妙な気配は感じる」

「人ではない何か、か。山神さまって、何かわかるか?」


 灰夢の質問に、影を纏う獣が食事をしながら答える。






「人間があまり立ち入らぬ、自然の多い聖域にのみ存在し、

 山に芽吹く命の循環を管理する者を指す事の多い名じゃな。


 見た目は動物や妖魔に、精霊や霊獣と様々な姿をしており、

 時には仙人と呼ばれる、異様に長生きな人間の場合もある。


 そやつらは本来の野生で生きる、多くの動物たちとは違い、

 数百年もの長い時を生き続ける話を耳にしたことがあるな」





 そんな話を聞いて、灰夢が平然とした表情のまま答える。


「もの〇け姫にもいたな、そんなやつ……」

「ジ〇リの見すぎじゃろ、お主……」

「金曜ロードショーで、数え切れねぇ回数やってっからな」

「やれやれ……。不老不死だというのに、時間の無駄使いが過ぎるのぉ……」

「むしろ、不老不死だからだろ」


 つまらなそうに答える灰夢に、牙朧武が呆れた顔でつっこみを入れる。


「ひとまず御年配の何かが、この上にいるっつうのは間違いなさそうだな」

「そうじゃが、そやつに何かあるのか?」


「死術書は大抵、人工の建物の中に隠されてるのが定番だからな」

「要するに『 村 』、もしくは『 御社 』が狙い目ということじゃな」

「あぁ……。ここにある人工物はそんなもんだろう」

「ならば、話が早いでは無いか」

「だか、お社には、あのチビ共と山神さまがいるんだとよ」

「そんなもの、社ごと喰らえば一瞬じゃぞ?」

「ガキ共の唯一の帰れる憩いのマイハウスを、軽く壊すんじゃねぇよ」


 バケモノじみたことを言う牙朧武に、今度は灰夢がつっこみ返す。


「ならば、どうするつもりじゃ?」

「まずは村で聞き込みだな。それで分からなきゃ、御社とやらを見てみよう」

「灰夢よ。歩き回るのならば、気をつけた方がいい」

「……何かいるのか?」


 牙朧武の不穏な言葉に、灰夢が一瞬で警戒を高める。


「この山のあちこちから、人や動物の死臭がしおる」

「俺の目には見えないが……。土の中に、埋まってるのか?」

「あぁ……。腐っておるようじゃが、何故か、土に還っておらん」

「そりゃ、何か訳ありだな」

「じゃろうな。吾輩の嗅覚も鈍らされる程じゃ……」


 それを聞いて、片付けを終えた灰夢が清々しい顔で告げた。


「そんじゃ、面倒になる前に帰るか」

「ここまで何しに来たんじゃ、お主……」


 くだらない会話をしながら、灰夢と牙朧武が出発の準備を整える。


「牙朧武……。山の周囲に、幻影を張っておいてくれるか?」

「……戦うのか?」

「あくまで可能性の話だ。無いなら無いに越したことはない」

「わかった。では、この山ごと隠しておくとしよう」

「あぁ、頼む……」





 灰夢は片付けたキャンプ道具を、自分の影の中にしまうと、

 木に掛けてあった羽織を帯で縛り、村へと向かっていった。

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