ただ一人のパーティーメンバー


「レイガくん、急いでたみたいだけど用事終わったの?」

「ああ、さっき終わった」

「レイガくんがあんなに急いでたんだから大事な用事みたいだけど間に合ったの?」

「間に合った。それよりセイカ、次の授業の洞窟探索は俺と二人で行くぞ」

「ああ、あの入学してすぐの洞窟探索か。うん、分かった。けど、いつもパーティーに入れてくれて助かるけど、レイガくんなら一人でも余裕だよね」


吟遊学科の人は余り役に立たてないので兼任して剣や魔法を習っている人が多いけど、私は吟遊学科以外習ってないからパーティーに誘ってくれる人はレイガくんだけだ。

なので、レイガくんと私の二人だけのパーティーを中学生の頃からいつも組んでいる。

ちなみに、羨ましくは思われてはいるがレイガくんがチートなので役に立たないお荷物な私をハンデにしているからパーティーを組んでいるのだと思われている。


「まぁ、一人でも大丈夫だがお前の笛の音色は心地良いからな。それに俺はお前以外ならパーティーに入れるつもりはない」

「ありがとう、レイガくんにそう言ってもらえると嬉しいよ」


私とレイガくんが初めて会ったのはこの泉で私が笛の練習をしながら、たまに歌を唄っていたらレイガくんがこの泉に来ていたのだ。


『さっきのは、お前か?』

(笛の事かな?)

『うん、そうだよ、レイガくん』

『俺の事を知っているのか?』

『レイガくんは有名人だからね。むしろ知らない人の方が少ないんじゃないかな?』

『お前、名前は?』

『?私は吟遊学科のセイカだよ』

『セイカ、お前は次の授業でモンスター討伐をするのを知っているか?』

『うん、知ってるけど?』

『なら、俺とパーティーを組まないか?』

『良いの?私は何も出来ないけど?』

『別に良い。俺はお前の出す音が気に入っただけだ』


レイガくんは態度は少し偉そうだけど優しくて良い人なのだ。


「私はもう帰るけどレイガくんはどうするの?」

「オレは、ここで少し休む」

「そうか。なら、風邪引かないくらいまでにしなよ」

「ああ」

「またね、レイガくん」


レイガくんとはこの泉とパーティーを組んでいる時しか会わない。

姿なら見るけどレイガくんは崇拝されるほど人気がある人なので凄い数の人が周りに集まっている。

私は命知らずではないので近づかない。



私は家に帰る途中だ。

(何で私の近くでイベント起こすかな~)


「マナカ!お前もこの学園に来たのか!」

「キト!お前もこの学園に入学してたのか!」


主人公の親友で剣士学科所属のキトだ。

キトは主人公の幼馴染みなので、主人公と同じ種族になる。


「この学園、可愛い子沢山いるよなー」

「お前、女の子にあんりチョッカイかけるなよ。女の子が可哀想だからな」

「うっわ、ひでー!お前何でオレには辛辣なの?」

「信頼してる証拠だけど?」

「お前のたらしの才能も相変わらずだな」

「?何が?」


キトは女の子大好きでちゃらい人だけど、友人をとても大切にするギャップのあるキャラだ。

とても良い人である。

(確か、今日のイベントはこれで終わりだったはず)


主人公が来た事で、これからも色々あるだろうけどモブの私にはあまり関係ない。

(だけど、今日は少し疲れた。明日の洞窟探索でまたイベントがあるけど、考えるのはやめよう)


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