第6話 帰りの切符


『白うさぎの両替商』

なんでも交換してくれる白うさぎが現れる。

条件が一致すれば交換が成立するだろう。



「…なんなんだこれは?魔法カードのような文章だな。」


「まぁ概ねそんな感じぴょん。これを使えばどこかの相手と色んなものをトレードする事ができるぴょん。」


「トレードって言ってもなぁ…」


「それだけじゃないぴょん。このNFトークンはある条件で使うと不思議なことが起こるぴょん。」


(ゴクリ)


大事なことを言われる気がして、俺は固唾を飲んで聞いていた。


「君が最初にワープしてきた場所を覚えているぴょん?」


「あの便器のところか?」


「正解ぴょん。あそこの前で使うと何故かリアルワールドのどこかの便器とクリプトワールドのさっきの便器が、空間ごと交換されるぴょん。バグみたいなものだね。」


「それで元の世界に帰れると言うことか?」


「そうだぴょん。」


俺は呆気なく帰りの切符を手に入れることができたようだった。


「帰る前に友達に会っていってほしいぴょん。命の恩人になるんだから紹介したいぴょん」


「え〜、そんな時間は無いよ〜。」


「すぐ近くなんだぴょん!頼むぴょん〜」


「ん〜…どこにいるんだよ友達は?」


うさぎは10mほど離れた場所を指を刺した。


「あそこの洞穴の中にいるぴょん」


あまりの近さに断る理由のあてが外れた。


流されやすい俺は、まるで飲み会で二次会に連れて行かれるように、仕方なくついていくことにした。

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