第二章
14話 嘘つきは誰
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私達はいつだってほんのひと握りの
“希望”を抱えて進むんだ。
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この世界に生まれる前から続く遠い記憶を思い出す一人の男。
「エル様。」
男は返事をしないまま、自分を呼ぶ男の胸に手を当てると、その男の体が光に包まれる。
その光は天空へと続く一筋の道となり、エルと呼ばれる男と光を纏うその男は眩い光に包まれ天へと登っていった。
「エル様お待ちしておりました。」
男の目の前に現れた女は天から降り注ぐ光を纏い、全身から柔らかい輝きを放っている。
女は地上から来た男の目の前で静かに跪き、深々と頭を下げ、床を見つめている。
男は何も言葉を発することなく、長い廊下を気怠そうにゆっくりと歩いていく。
そして、長い長い廊下を進むにつれていつしか森の中に入っていった。
そこにはたくさんの花々や草木が咲き誇る神聖な場所。
天空にしか自生していない樹木からは癒しの聖水が時間を忘れるかのようにゆっくりと降り注ぎ、眩いばかりの黄金の花びらが舞っている。
その樹木は空から逆さまに唸るように伸び、目に見える速度で成長し続けていた。
男は澄んだ湖の前で立ち止まる。
そこには湖の上に佇む一人の少女がいた。
銀色の長い髪は少女の背丈よりも長く、その背中には純白の大きな翼があった。
少女は湖の上を歩きながら男の元へ向かった。
男はその場に跪くと、少女の名前を呼ぶ。
「ルナ様。」
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