2話 来ない
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「愛情の裏返しが本当のあなた」
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「遅いな……。」
チャイの入ったカップを口から離し、外を見つめながら時計を気にしている。
「まぁ、別にいいんだけど
あいつ大丈夫かな。嫌な予感しかしない」
そう言いながらも男はあまり気にしていない様子で再びチャイに口をつける。
ここは彼の父親が趣味で経営しているカフェ。
世界中を旅している両親は気に入ったものを見つけてはこのカフェに飾っている。
よってこのカフェは定期的にコンセプトが変わる。
今回のコンセプトはインド。
奥のキッチンでは兄の
彼の兄は一言で言って“天才”
もちろん勉強も出来るし、なにより頭の回転が早い。
だが、彼はその才能をこのカフェ、
もっと言うと料理に注いでいる。
この店のコンセプトが変わるたびに内装からメニュー、メディア戦略まで1人で軽やかにこなす。
彼のおかげでこのカフェは毎回大繁盛。
はっきり言って才能の無駄遣いだ。
だけど会いたい時にいつもこのカフェに来れば家族がいる。
両親が近くにいない彼らにとってこのカフェは家族を繋ぐ家のようなものだ。
「ん〜。スパイスは奥が深いね。
はまっちゃいそうだよ。
あれ?そういえば15:00過ぎちゃってるけど、待ち合わせしてるんじゃないの?」
「あいつが時間通りに来ないのはいつものことだけど、人様に迷惑かけてないかだけ心配だ。
ちょっと近くを見てくるよ。
あ、あと兄貴カレーまだ?」
そういうと男は、カレーの心配をしながら外に出て行った。
「忘れてた!カレー2人前だったね」
嬉しそうにコトコト鍋を見ながら日向は答えた。
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