サンデーランチに殿方一人


 十月、秋は深まり、さすがにクーラーなどは必要無い季節です。

 扇風機などはしまい、『帝室王女御用邸』も秋の装いです。


 お願いされていた、慶子お姉様のお料理教室ですが……

 ハル様もご一緒に来られており、『アランチーニ・スコップ仕立て』を覚えて帰られました。


 『アランチーニ・スコップ仕立て』ではなく、『アランチーニ』ですけどね。

 まぁ、簡単に言えばライスコロッケですよ♪

 でも、チキンライスとホワイト・ソースを一から作るのは、多少苦労されていたようです。


 私の場合、チキンライスとホワイト・ソースは調味料がありますからね、かなり手抜きが可能なのです。

 さらに、面倒なら、これはお取り寄せです!


 某アメリカのスーパーのものが、総菜として取り寄せ出来るのです。

 9個1330グラム入りで1,980円、2,000円以下なので問題は無いのですが……

 ただ、調理時間がオーブンで40分かるのですね……

 

 もう一つ、こちらはさらに簡単です。

 ライスコロッケ トマトバジルリゾット。

 某冷凍食品会社の製品で、一個あたり30グラム、20個入りで706円税抜。

 油温175度で約5分揚げるだけです♪


 小さいですが、こちらも便利なのですね。

 

 私、好きなのですよね♪基本的にコロッケは大好き♪


 おっと、脱線しましたね♪つい、大好きなコロッケの話になると、テンション高くなってしまって。

 『コロッケの唄』――ウィキペディア、益田太郎冠者 の項目より――でも歌いましょうか♪

 作詞者がコロッケ責めの新婚生活を嘆いて、作詞したそうですよ、この方、男爵様でしたよね♪


 私も皇太子殿下に嫁いだら……コロッケばかり食べさせようかしら♪

 う・ふ・ふ……


 どうも、近頃、殿下のお嫁さんになり、新婚生活のことを想像してしまうのですね♪

 だってね、殿下、日曜日になると、お昼を食べに来られるのですよ♪


 そして今日は日曜日、さらにはお昼時です。


「皇太子殿下がお越しです」

 メイドさんが、応接間に案内してきました。

 もう、皇太子殿下については、どうしましょうなんて聞かないのですよ。


「ありがとう、香原さん、今日も綺麗だよ」

 殿下ったら、もうメイドさんの名前と顔を覚えています。

 イケメンですからね……我が家のメイドさん、ろくでもない男のために、酷い目にあって男嫌いのはずなのですが、明らかに好意的なのですよ。


「やはり、殿下は女垂らしなのですね!」

「光栄だな、雪乃さんが悋気なんてね♪」

「違います!」


「でもね、雪乃さん、もし貴女が妻になってくれる場合、これはあくまで私の希望なのだが、ここの女性陣は全員嫁いで頂けるわけであろう?」

「たとえ、『巫女』であろうとも、私と生活を共にするわけだ、仲良くしなくても、正妻である雪乃さんが困るではと考えるが?」


「それはそうですが……皆で仲良く過ごすのが、私の願いなわけで……」

「私は雪乃さんの立場を、常に考えている」

「ありがとうございます……もう!」


「雪乃様、お食事をお持ちしても良いでしょうか?」

 文子様が、頃合いとみて、声をかけてきました。


「おっ、文子さんか、いつも昼時に押しかけて済まない、しかしこれは雪乃さんが悪いのだ、なんせ、この上手い手料理を味わえば、次が待ち遠しくなる」

「雪乃様は日曜の朝になると、熱心にお料理をなさるのですよ♪」


「文子様!早く皆で頂きましょう!」

 食堂では、洋子様が、残りのメイドさん達と共に配膳を終えておられました。

 ダイアナ様が優雅に座っておられます。


「美味しそうだな!」

 殿下、本当に嬉しそうです。


「今日は『秋の野菜たっぷりのブイヨンスープ』と『ビーフストロガノフ』です」

 殿下って、割と庶民的な味をお好みで……さらにいえば、ご飯の上に何かをのせる、『どんぶり』がお好きなのですね♪

 当然、『ビーフストロガノフ』の横には、ライスを添えていますよ。


 で、殿下が毎週お越しになる、日曜のお昼は『どんぶり』をお出しするのです♪

 先週は『鰯の蒲焼き丼』と『豚汁』でした。

 『どんぶり』と『汁物』なので、出来るだけ具沢山の汁物にしています。


 あと、口直しにチョットした物を付けておりますよ。


 必ず10人前作ります。

 さすがに殿下は若い男性、よくお食べになられますので……

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