皇太子殿下は正直ですね
のんびりと夏休みを過ごしていたのですが……
とんでもないことが起きました……
親王殿下が……神津様と……
親王殿下が突然、共和国に亡命したのです。
女学校で『S』が蔓延するのですから、男子校でもありうるわけです。
どうやら親王殿下と神津様は、命がけで帝国を脱出、国境の海峡を船を雇って渡り、共和国まで二人で逃避したようです。
宮廷は余りの不祥事に沈黙したまま、やっと親王殿下の廃嫡を発表したのです。
そして皇太子殿下がやってきました。
「お久しぶりです、皇太子殿下……」
「あぁ久しいな……まずは皇帝陛下からのお言葉を伝える」
「謹んで拝聴させていただきます」
「雪乃には悪いが、弟との婚姻は親として許さない、父上と母上の言葉だ」
「父上も母上も雪乃を心配している、そしてこの不始末をしでかした弟に怒っておられる」
「おかわいそうな親王殿下……」
「兄としては不憫と思うが、男としてみると情けない、この言葉に尽きる」
「父上と母上は雪乃に、このまま娘となっていて欲しい、と云われている」
「縁談のことだが、無理して私と結婚することはない」
「このまま王女として、好ましい男の元へ嫁いでもらっても良い」
「その時は花嫁の父、そして母として祝福しようとのお言葉だ」
「皇太子殿下は私をどう思われているのですか?」
「正直に言おう、私は出来うれば雪乃を妻にしたい、が、私は女好きだ、弁解させていただくなら、プロの女を対象としている、娼館の女ならゴタゴタも起らない」
「雪乃はそんな私をどう見るのだ」
「娼館の女性を相手に、派手に遊ばれなければ我慢出来ると思います」
「私を妻になされるのなら、私を大事にしていただきたいのです、そして私の愛人の方達を側室にしていただきたい」
「さらに、皇太子殿下がどなたかを愛人になされようとするとき、私にご相談いただきたいのです」
「もし私と仲良く出来ない方は、愛人になされないで下さい」
「誠にわがままな要望ですね……理不尽は分かっております」
「殿方としてみるなら、殿下は理想の殿方、ただ一人の女を大事にし、守っていただけるかには不安があります」
「しかし、お話ししていて、約束は必ずお守りなされる方と判断しました」
「私が雪乃を妻にと望めば、考慮してくれるのか?」
「先ほどの私の希望を叶えて下さりますか?」
「娼館通いを目こぼししてくれるのなら、まぁおおっぴらに通うことは控えるが」
正直ですね……
「派手にしなければですが……それと、やはり学校を卒業までは待って下さりますか……」
「その間に私を口説いて、私が殿下を愛していると思わせて下さい」
「正直に言いますが、私はいまは混乱していて……」
「私は皇太子殿下に良い印象は持っています、だから……愛していると思わせて欲しいのです……」
「雪乃は……可愛いな……」
「雪乃の心が落ち着いたら、卒業までに、雪乃の心を私になびかせて見せよう……」
「そうですね、とにかく今は……」
「わかっている」
皇太子殿下はそのようにおっしゃいましたが……私は……直ぐに次の男に媚びている……嫌な女……
自己嫌悪に陥っていたのです……
もうすぐ八月が終わります……
時間が私をいやしていきます。
正直にいえば、親王殿下がホモで、私より男を選んだと分かった瞬間、吹っ切れましたよ!
ただ、そんな男を選んだ自分が恥ずかしくて……穴があったら入りたい心境だったのです。
いまは、ふつふつと怒りがこみ上がってきます。
もし会うことがあれば、叩きのめしてあげます!
「雪乃様!その時は私にもお声をかけて下さい!私も一発叩いてやりますわ!兄と思うと腹が立ちます!」
小百合さんも、かなりお怒りでした。
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