四人のメイドさんたち


 すこし遅いお茶などしながら、今日作ったチョコビスケットケーキを食べています、大評判です。

 メイドさんもテーブルについていただき、皆で食べています♪


 文子様も洋子様も、ダイアナ様まで褒めてくれます。

 結構大量に作ったチョコビスケットケーキ、まだあるのですよ。 


「簡単に作れるのよ?」

 メイドさんに言うと、

「でも、実家には電気冷蔵庫がありませんし……」


 この頃、メイドさんとも親しくなり、ご家庭の事など、話をしてくれるようになったのです。

 四人とも永年奉公ですが、私が帝都実科高等女学校へ行けるように手配したのです、そして無事卒業すれば、借財はチャラにしてあげることにしています。

 まぁ、入学は尋常小学校卒業、十二歳以上となっていますが、彼女たちは現在十八歳から二十歳……


 この学校、尋常小学校卒業すぐの方は、あまり入学しないと考えられています。

 やはり働いて、それなりに過ごせるようになるまで、何年か働く必要があるのです。

 そのためクラスというものがなく、各自が必要な授業を受ける事になります。

 

 もしこの方たちが頑張って卒業され、希望されれば上級学校の学費も出してあげるつもりです。

 そうでもなく、良い伴侶を見つけ、ご結婚なされるなら、祝福するつもりです。

 ただし、正妻になられるならです。


 私に仕えてくれるメイドさんは、さすがに宮廷が負債を購入、永年奉公で採用された方々、才色兼備、綺麗な方たちなのです。

 その負債は私が支払い済みです。


 彼女たちの実家とは、大体が没落貴族の家柄……

 例の華族世襲財産を抵当にいれたお家……と云う訳です。

 貴族の娘が娼館で働くなんて、聞こえが悪く、宮廷の爵位局がいろいろ画策するようです。


 帝国貴族とは、上から、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵とありますが、数千年の歴史がある帝国です。

 男爵何て、どれだけいるかわからないのですね。


 そもそもユーラシアよりでっかい大陸に王国と帝国、そして細い海峡で接していますが、別のでっかい大陸が共和国らしくて、世界人口が十億ぐらい、三大国はそれぞれ三億ぐらいの人口を抱えているのが、この世界なのです。

 近頃、王国と帝国が仲良くなったので、共和国は慌てていると、新聞あたりでは報じていました。


 そんなことより、このメイドさんたちのご実家は男爵家、なんとか爵位を取り上げられなかったのですが、かわりに娘を宮廷が取り上げたようですね……

 まったく……


「でも、冷凍箱はあるのでしょう?」

「まぁ、それくらいは……」


 冷凍箱って氷で冷やす冷蔵庫、この世界、製氷業ははやっているのですね。


「ところで、今夜の夕飯なのだけど、海老フライにしない?」

「いいですね、でもなぜ海老フライなのです?」

 文子様が聞くので、

「小百合さんにね、お昼を出してあげたのですが、やはり『お子様』なので、海老フライにしたのよ、でね、海老が冷蔵庫で泳いでいるのよ」


 洋子様がクスクス笑いましたが、

「そうですね、私も好きでしたね♪」


「そういえば、タルタルソースを小百合さん、知らなかったのよ」

「タルタルソース?私も聞いたことがありませんが?」

 洋子様も知らないようです。


「タルタルソース?王国のソースですね、よく雪乃様ご存知ですね……私もほとんど口にしたことはありません……海老フライにはウスターかマヨネーズと思っていました」

 ダイアナ様、知ってはいたようです。


「じゃあ、海老フライを食べるために、みんなでタルタルソースを作りませんか?」

「教えてくださるのですか?」

「当然ですよ、皆でお料理して、皆で食べるのです♪メイドさんたちもご一緒ですよ」


 ということで、タルタルソースなんて作っています。

 一応、マヨネーズは市販されていますので簡単ですね。


「本当に簡単なのですね」

「これね、パンに乗せて、オーブントースターで焼いても美味しいのよ♪」


 で、わいわいとトーストなんて作って食べました♪

 大好評ですね。


 メイドさんたち、しっかりと覚えたようで、朝食に、このトーストを食べるときがあるようです。

 

「宮殿の仲間に自慢します!」

 なんておっしゃっていました。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る