お子様はなんたって海老フライです!


 小百合さん、可愛い割烹着なんて用意しているのですよ。

 給食着という奴ですか。


「学校でお料理実習の時、つかうのよ♪」


 材料は大量に用意してあります。

 私も幾つか作っているのですよ。


「雪乃様、誰かにあげるのですか?」

「お友達や、お父様お母様に差し上げようと思ってね♪」


 ここで小百合さんが、おしゃまなことを云ってくれます。


「殿方には差し上げないのですか?たとえば親王殿下とか?」

「えっ、親王殿下に?」

 言葉が詰まってしまいました。

 実は一つ差し上げたいな♪とは思っていたのです。


「殿下はお忙しいようですし……もっと美味しい物をお食べに……いやだ、からかわないでよ……」

 何故か顔が赤らむのですね……


「私のことはさておいて、小百合さんこそ、誰かにあげるの?」

 強引に話題を変えましたね。

 このおしゃまさんに、すこし笑われたような……


「私はお兄様に端っこをあげるの!」

 小百合さん、訳の分からない事をいっています。

「端っこ?」


「だって、私が半分食べて、残りを三等分して、お父様、お母様、お兄様にあげるのよ」

 神津様、妹に邪険にされていますね。


「お父様に怒られたの……お前も女の子なのだから、お菓子ぐらい作れるようになれ、良い機会だから『岩倉姫宮雪乃』様に教えていただくようにって!」 


 笑いましたね……


「お父様、酷い云い方ね、なら、なおさらお父様に食べていただいた方がいいわよ、今作っているお菓子って結構簡単に作れるのよ、私が見るに失敗してないようね♪」


「さて、あとは冷やして固めるだけね……お昼ご飯にしましょうね」


 お昼は海老フライです。

 いちいち海老の処理は面倒!揚げればOKの特大冷凍エビ、油で揚げればいいだけの物をチョイス!

 でも揚げるのは難しいのよ……


 まぁ、5Lサイズ、頭無しで19センチ?とりあえず取り寄せてみると、そのとおり、評判通りの物でした。

 10本、3,950円……


 あとはキャベツの千切り、トマトのくし切り、そしてレモンを添えて……

 あっ、タルタルソースが必要ですね?

 作ってもいいのだけど、チューブの物でね、だってお子様は、そんなにいいものは必要ないのです!


「今日のお昼は海老フライにしたのよ♪」

「うわっ♪大きい♪」

「そうでしょう♪」


 なんと贅沢に、海老が5本もお皿にのっているのですよ♪

 

「海老にかかっているのはマヨネーズですか?」

「タルタルソースっていうのよ」

 そういえばタルタルソースって、この世界になかったような……いや、王国にありましたね……

「王国のソースなのよ」


「ダイアナ様に教えていただいたのですね♪」

「うらやましいわ……」

「なにが?」

「ダイアナ様、雪乃様の愛人になられたのですね、いつも雪乃様のお側におられるのですよね」


 なにが云いたいの?


「だって、雪乃お姉さまと口づけなんて、なされるのですよね♪憧れるわ♪」

 

 はぁ?小百合さん、幾つなの?十一歳でしょうに……おませが過ぎるのではありませんか?


 私は……十三歳……愛人なんぞを侍らしている身の上……この世界の女の子、早熟でした。 


 二人でチョコビスケットケーキが冷え固まるまで、かなり『おませさん』の話を聞かされたのですね。


 チョコビスケットケーキは大成功、私がついでにかなりたくさん作りましたので、皆さん、そしてメイドさん、さらには今日ご出勤の守衛さんなどの殿方にも、十分に振舞いました。

 

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