お赤飯騒動
その日の朝、起きますと……
『茶色』いものが下着についていました。
私は『あれ』が始まると、血がいっぱい出るのではと、思っていました。
ただ身体が何となくダルいのです。
「お嬢様、朝ですよ」
私が部屋から出ないので、ハル様が見に来てくれました。
「あのね、下着に……その……」
「生理が始まったのですね、すぐにご用意します!」
で、その後が大変でした!
何でも『月経帯』とか云う物を付けるとか……まぁ、サニタリーショーツなのでしょうね。
そしてどうやら布ナプキン、『月経布』と云うらしいのですけどね。
でも布ナプキンなんて……
そうだ!内緒で、神様にもらった力を使いましょう!
朝比奈邸は大騒動になりました。
久光お兄様はオロオロしています。
「雪乃!大丈夫か!しんどくはないか!」
「旦那様!雪乃様にとってはおめでたい事なのですよ!」
ハル様が窘めています。
執事さんが、
「旦那様、とにかく、お祝いの準備を始めて良いですか?」
「そうか、とにかく任せる、私はどうしていいかわからぬのだ……」
「帝国ではお赤飯を炊いて、内祝いとして近所にふるまいます、当家は伯爵家、古来からの赤米で炊くことになります」
「それと至急に慶子様にお知らせください、宮廷への届が要るかもしれません、本来はその家の女主人が取り扱うことで、現在の朝比奈家では、雪乃様が女主人にあたるのです」
「しかし、残念ながらまだその年齢ではあられません」
「ハルがいるではないか?」
「ハル様はお手付きとはいえ、正妻様ではありません、帝国の華族制度では、愛人は『同じ戸籍にある者』ではありませんので、制度的には朝比奈家のご一族とはならないのです」
えっ、ハル様ってお兄様のお手付きなの?でも、慶子様は平然としておられたけど……
正妻にとって、愛人とかは目下のもの程度なの?
……そういえば、転生条件の説明に、『妻以外の愛人は前借金により年季奉公の購入ということになる』とあったような……
さらには、華族や富裕層の当主は当然ハレムを持つ……
久光お兄様が女を囲っていても不思議ではない……
えっ、そんな世界に『女』として転生したの?慶子様のように、自分の相手が別の女を抱いていても、平然としてその女と話をするの?
信じられない!こんな世界、病んでいる!
翌日、お赤飯の折詰は大量に用意され、内祝いとして隣近所の華族の屋敷に運ばれました。
当然、親族一同にも……
そして、その日のお昼には慶子様がやってこられました。
神様の条件には次の一文がありましたが……
汝の転生する世界も条件によっては『レズ』も認められる世界である。
ではこの意味は……
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