第51話 空間移動

 岩場の前の小さな砂地に、デンジュ達は集まっていた。

 トプロ行きの転送魔法は、準備に手間が掛かるらしい。

 待つ間、デンジュはパジャマ姿なのに気付いて、メリュカを前に、これでは恥ずかしいと思うものの、どうにも出来ずにいた。


 「デンジュさんのお召し物は、なんだかサラサラゆったりしていますが、未来では当たり前なのですか?」


 「んん、まぁ、当たり前かな。みんな持ってるよ」


 (一応、嘘じゃないから、いいよな…)


 多少、良心の呵責を痛めつつ、頬を掻き掻き、クンバの方に目を向けると、丁度準備が出来たようであった。


 「よーし、準備出来たよ!ではトプロに出発だよー」

 

 クンバは、尖り頭の天辺を、ブルブル超高速で震わせると、空間は歪み、辺り一帯の重力は重く軽く変動し、目に見える物は、ゆらゆらと揺らめき始めた。


 「きゃー!なんですか??」


 「ヒヒーン!!」


 「大丈夫、安心してー、ただの空間移動だから大したことないよー!」


 驚き、恐怖を抱くメリュカとは対照的にデンジュは慣れたもので、意気揚々であった。

 

 「おう、行くか!俺の故郷、地球トプロへ!」

 

 こうして、デンジュ達は地球トプロへと向かったのである。

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