第46話 煙の元

 大空に小さな縫いぐるみと、パジャマの男が飛ぶ様子は斬新だ、けれども、その姿は誰にも見つけられない。

 バズりはしない世の中である。


 (確かにクンバの言う通り、此処は昔のドメイルかもな、このドメイルには近代的な物が何ひとつないな)


 「デンジュ君、そろそろ着くよ、あの海辺に砂煙が立っているだろう、見える?」


 「うん、見える。なんだか嫌な予感しかしないけどな」


 クンバの示した場所は、遠くからでも明らかに、大惨事の様子が見てとれた。


 「大丈夫だよ、僕達は安全な場所から見ているだけだから」


 「安全な場所?ってことは、現場は危険。うーん、いよいよ確信に迫る、そんな心境だ」


 二人は気配を感じ取られないよう、ある程度離れた岩場の影に身を潜めると、遠くの景色が近くに見える様になる魔法、『極視探訪シリョクヤーバ』を使って、砂煙の発生源を覗いた。


 「どう見えた?」


 「おう、はっきり見えるぜ」


 「この展開、面白そうでしょ?」


 「そうだな、少し驚いた。でも、これで腹落ちしたよ。あいつら、ここで再戦してたのか」


 そう、デンジュの言う、あいつらとは、石之助とアギ、なのであった。

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