第38話 カウントダウン

 ユルネに抱かれる事、10分ほど。

 デンジュは体の内の奥底から絶えず、体の外側へ、水が流れ出るような感覚を覚え、その感覚に身を委ねていた。


 「ユルネさん、熱い。体がなんだかボウッとしているんだけど、大丈夫かな?」


 「ええ、心配要らないわ、そろそろ終わるは」


 「そう、ならいいんだ。でも、この感覚、悪くないんだよね。このまま暫く、こうしていてもイイ?」


 「ふふっ、ダメよ。残念だけど限界があるの、アセンションに永遠はないのよ。ほら、そろそろ終わるはよ、最後に強い衝撃が来るから、覚悟しておいてね」


 「え、このまま気持ち良く終わらせてよ〜。と言っても無理だよね、仕方ない、覚悟するよ」


 「はい、良い子ね。では、ミュウカ、ルタ、デンジュさんの為にカウントダウンを始めるはよ」


 「はーい」


 「おう!」


 「じゃあ、行くわよ」


 「180、179、168…」


 (えっ!3分前から…長いでしょ、それ。みんな真剣だからな、下手にツッコミ出来ないし、身を任せよう)


 こんな状況でも、ドメイルの人間達が忘れない、悠久の時の流れと、心のゆとりに、ある種の驚嘆を感じたデンジュなのであった。


 (よし、最後だ、心おきなく、ユルネさんの胸に埋れてやるぞー。あれ、趣旨変わってるかな。まぁいいか、まだ100秒あるし)

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