第25話 天命

 今日も又騒がしいクレスタイン家の秘密基地。

 

 デンジュは床を這いつくばり蜥蜴のように移動している。


  無気力な大人を初めて見たルタは今後の人生に影響するショックを受けた、さらに人という生き物の多様性をもっとこの目で見たい気持ちともう見たくない気持ちの葛藤の種を撒かれて考え込みじーっと壁を見つめながら己にこう問いかける、我有る処に我無し、又我無き処に我有り。と。

 

 「ちょっとルタ!!ねぇ!聞こえてる??」


  ミュウカはルタの目線の先で手をパタパタ振ってどうにか気付かせようとするのだが反応は無い。しからばトラウマ確定であった。

 

 「お嬢様?ちと宜しいですか?」

ケイリは手招きをしてミュウカをトレーニングルームへ呼び込んだ。


 「なになに?どうかした?」


 「ええ、それがですな、デンジュさんのことなのですが…先程エスト様から連絡がありまして斯々然々でございましてな…」

 

 ボソボソと内緒話を始めた。

 

「えー!!!うそ、そんなこと…信じられない…」


 ミュウカはびっくりして少し取り乱した。

 

 「ええ、ですのでお嬢様には文字通り一肌脱いで頂かなければなりません」


 「そうね、これは天命なんだと思う、できるかどうか不安だけど、きっと大丈夫成功させてみせるは、だから今は少しだけ甘えさせてケイリ…」


 ミュウカは不安げに答えた。


 「ほほ、これはこれは甘えん坊のミュウカお嬢様に戻ってしまいましたかな、承知しましたぞ、さあこちらへ」


 そう言ってケイリは手を広げミュウカをがっしりとハグしてあげた。


 ケイリのパンパンにパンプアップした体が照明に照らされて、やけに光って見えたのであった。

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