第18話 クレスタイン家の裏話その3の3
特濃チチグリン水、これを山社会界隈では『ミドリノ』と呼んでいる。
「さぁ、今日はお仕事です!なにかワクワクしますねー」
「メリュカちゃん、元気やねー」
「はい、久しぶりに人の役に立てるじゃないですか、其れでなんというか、気持ちが昂ぶっています!」
「そうやね、簡単なお手伝いやけどやりがいはあるな」
「では早速、この辺りで種を埋めてミドリノをかけてみましょう!」
洞窟前から少し降ったところでザクッと地面を掘りまずは昨日のフルーツの種子を一粒落としてミドリノをジョロっとかけてみた。
するとニョキニョキと芽が出てきて、あれよあれよ言う間に立派な木になったのだ。
「すごい!!一瞬ですね!もう大きな木になりました」
「そやな、この調子でこの辺りを木でいっぱいにしようか」
それっ、それっ、とメリュカ達はフルーツや木の実やサンディがばら撒いていた糞から出てきた何かの種に片端ミドリノをかけて緑をたくさん生産していった。
「だいぶ増えたで、もうこの辺見違えるで、でもまだまだ一部分だけやからな、しかし種がもうあらへんな」
「そうですね、取ってくるにしても時間がかなりかかりますね」
チュンチュン、ホーホー、キュルル、緑が生えた亜歩山に鳥達が集まって来た、であれば鳥達に緑の需要はある。
石之助はその鳥達に此処まで植物の種を集めて持って来るようお願いをした。
しばらくして大勢の鳥達が種を咥えて戻って来ると空から種を撒いてくれた、鳥達の中にはプテラノドン程の大きな者もいたので石之助はその鳥に頼んで鷲掴みにされたまま空中へ飛びミドリノを口に含んで亜歩山全体に噴霧したのである。
「どうや!これでお仕事終了やで!」
「やったー!私達初めてのお仕事大成功ですね!」
「ヒヒーン!!ブルッ」
お仕事終了で木々を掻き分け洞窟へと戻るメリュカ達なのであった。
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