第3話 絵を治す者
「じゃあ、まずあの腕みたいなんはなんなんですか?なんで布都先輩はあれに驚かないんです?」
「最初から一つじゃねえな。まず一つ、あいつは怪異『絵取り主』だ。お前も聞いたことくらいあんだろ。」
「絵取り主…。あの都市伝説の?だってあれはあくまで都市伝説ですよね?そんなのあるわけ…。」
「でもてめぇは目の前でそれをみただろ。それでも、まだ都市伝説だって言えるか?」
まさか都市伝説が本当にあるだなんて。信じたくなくてもあんなものを見たんだ、信じるしかなかった。
「俺はこの神社の跡取りでな。ああいう怪異を治す仕事をしてんだよ。だからあいつにあっても驚かない。」
絵取り主様の都市伝説。絵の中に人が取り込まれちゃうことは知っていたけど、それと戦う人がいたことを初めて知った。そもそも、都市伝説だからって信じていたなかったんだけど。
「あの怪異は沢田透子を取り込んだ怪異だ。オレはあいつをなおして怪異の変異を止めなきゃなんねえ。お前はもう帰れ。あそこには近づくな。」
「待って。沢田透子って、私のお姉ちゃんなの!突然いなくなっちゃって…。最後に目撃された場所があの美術教室だったから行ってみたらあんな腕が出てきて、絵取り主様のせいって…。ついていけないわ!それにお姉ちゃんが捕まってるならなおさら帰れない!」
姉の行方がやっと分かったんだ。ここで帰ってしまったらもう2度と会えない気がした。
「…分かった。でもその代わりオレのそばから絶対離れるな。お前ももれなく取り込まれるからな。そんでこれを待ってろ。」
投げ渡されたのは紫色のお守り。あの腕から守ってくれる効果があるらしい。もらったお守りを首からぶら下げ、彼の後ろをついてもう一度あの美術教室へと向かった。
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