第2話 布都遼介との出会い
透子の通っていた美術教室は、街のはずれにあった。今となってはただの廃屋でしかないこの建物に近づく人はいない。なんで透子はあの日、ここに来たんだろう。そんなことを考えながら元美術教室の中に入った。
中はその名のままに様々な絵が飾られていたり、置きっぱなしにされていたりしている。
「うわぁ、なんか出そうで気味が悪いや。」
奥に進むと壁がミシミシと音を立てる。その瞬間。
「きゃっ!」
壁が剥がれて中から人がでてきた。
「誰だお前?」
腰を抜かしている私に聞き覚えのある声が名前を問うた。
「…
布都先輩は
「なんで俺の名前知ってんだ?お前はまず誰だよ。」
「さ、沢田です。沢田
「沢田、って沢田透子の関係者か?」
「透子は姉ですけど…姉のことを知ってるんですか?姉は今どこに…!」
言いかけたとき、さっき布都先輩がでてきた壁から手が伸びてきた。
「くそっ。おいお前!今すぐ立て!ここから離れろ!そんでもうここには近づくな!」
そうしたい気持ちは山々だったが腰が抜けて動けない。
「こ、腰が抜けて動けないです。」
「っだあ、くそ。」
そう言うなり、私を抱きかかえてあの腕から逃げる先輩。しばらく走ったのち、近くの神社で降ろされた。
「…あの、助けてくれてありがとうございました。」
布都先輩は何も言わずにさっきから手に持っていた大きな筆のようなものを回している。
「さっきの…あの腕みたいなやつ、あれはなんなんですか?布都先輩は何をしてたんですか?透子が消えたのと何か関係があるんですか?」
「質問が多いな。一個ずつにしろ。答えてやるから。」
そうして、布都先輩は私の質問すべてに丁寧に答えてくれた。絵取り主様が、都市伝説なんかじゃない、実際に存在するものだということを。
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