第11.5話 ソロエレキギター同好会

 浅井あさいはソロエレキギター部(同好会)の部長をしている。

 私の家に来ない時は基本毎日部活だ。

 

 最初はソロエレキギターって何? ってなったのだけど、聞いても結局よく分からなかったから、最近は特に気にしていない。


 ソロギターにエレキギターならではのニュアンスを加えたものがソロエレキギターらしいのだけど。

 ググってもほとんど情報がなく、ジャンルとしてまだ、確立されていないようだ。


 浅井がソロエレキギターの魅力に取り憑かれたのは、ソロエレキギター部(同好会)の顧問、樋口ひぐち先生に教えてもらったことが切っ掛けだそうだ。

 なんでも、樋口先生とは幼い頃からの知り合いらしく、浅井にギターを教えたのは樋口先生らしい。

 まさかの事実『継ぐ音』のギタリストとその師匠は我が校にいたのだ。

 うちの学校すげー!


 余談だけど樋口先生は女教師だ。

 クール系美人で、男子に絶大な人気を誇る。

 でも、そのクールな性格は男子よりも女子にコアなファンを作った。


 そんな人気者の樋口先生と、あの地味な浅井が幼馴染だなんて誰が想像できるだろうか。人のつながりって、面白い! と感じるエピソードだ。

 

 私は基本、浅井の部活を応援していたのだけど、最近はそうでもない。だからといってギターを頑張っている浅井に水をさすつもりはない。

 

 でも、新入部員の音村おとむら 奏音かのんって子がとても気に入らない。


 彼女がソロエレキギター部に入部したのは、丁度、私と優花ゆうか寺沢てらさわが、浅井の部活の見学に訪れていた時で、4人で談笑している時に彼女は部室を訪れた。音村さんは、私たちにいい顔はしなかった。


 特に浅井は部長だから、敵意を向けられていたほどだ。


 なのに浅井の演奏が終わると、これまでの態度を翻し、土下座までして強引に浅井の弟子にしてもらったのだ。


 まあ、そんなわけで、私はソロギターエレキギター同好会の活動を快く思っていない。


 まあ……気に入ってないとかいう前に、早く浅井に気持ちを伝えちゃえって話なんだけど、そう簡単にも割り切れない。


 まあ、現在そんな心境の今村でした。




 ————


 【あとがき】

 

 本話は第11話と第12話の間に挟む、本編を補足するショートストーリーです。

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