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 そんな経緯をかいつまんで説明しつつ、玄理は咲月から送られてきたLINEの画面を黎智に見せた。

「今日黎智に伝えることも、向こうは知ってる。多分、待ってると思うよ」

「……」

 黎智は玄理のスマホを見つめながら、複雑そうに表情を歪めた。

 結智に何を聞けばいいのか、自分はどうすれば良いのか、どうしたいのか。

 悩んでいると、溜息が出てしまった。

「黎智は結智の何を知りたいの?」

 そんな黎智の心情を察して、玄理が訊ねる。

「なに、を?」

 黎智はきゅっと口を閉じ、神妙な面持ちで俯いた。

「黎智に連絡先を教えた時点で結智は覚悟を決めている。本当に結智のことを知りたいなら、黎智もそうするべきじゃない?」

「……」

 玄理の言う通りだと思った。

 結智がいなくなった時、必死で捜し回り、アンロックに辿り着いた。

 どうして自分の元から去ったのかを知りたい。そしてまた帰ってきてくれるのか知りたい。

 前みたいに笑い合いたい。

 どんなことを言われても、自分は結智のことを受け入れる。

 黎智は決意を秘め、玄理を見つめ返した。

「結智はたった一人の大切な兄弟です。結智が話してくれるなら、全てを受け入れます」

 黎智の眼差しに、玄理はふわりと笑った。

「会えなかった分、たくさん話をすると良い」

 そう言ってクシャッと黎智の頭を撫でた。

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