玄理の懸念

 取り敢えず、知り合いには片っ端から連絡をいれてみた。どんな些細な情報でもいいので教えて欲しいと。

 結智がアンロックに来たということは、少なくとも会員客とは繋がりがあるということだ。玄理はアンロックの客をほぼ全て知っている。もちろん連絡先も。結智が会っていた――と思われる――人物が分からないなら、今は手あたり次第に弾を打つしかないだろう。

「……ま、俺がしていた奴じゃなくてよかった」

 会社の社食で一人昼食を摂りながら、玄理はそんなことを思っていた。

 結智の写真を見たが玄理も全く知らない人物だったため、ある意味ホッとしていたのだが、結智の相手が自分とも繋がりがあった相手かもしれないと思うと、玄理の中にも狼狽が芽生える。

 アンロックの常連客全てと性的関係を持っているわけではないが、一夜限りの相手がたくさんいる玄理には十分有り得ることではあった。

「まぁ、それは相手が見つかってから考えればいいか……」

 そう自己完結し、食堂を出た玄理は午後の仕事に取り掛かるため職場へと戻った。

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