第6話:決意
「待ってください、私に聖女の力を試させてください。
私の力でペネロピを癒す事ができないか試させてください。
ペネロピの心を癒すことができなくても、殺さずに封印できるかもしれません。
どうか私にペネロピを救う機会をください」
正直私は憶病者なのです。
今も何もせずに隠れて暮らしたいという気持ちがあります。
でも、憶病な気持ちと同時にペネロピへの愛情もあるのです。
才能や度胸はなくても、私には前世の知識があります。
ラノベやアニメで得た知識が実現可能なら、ペネロピを救えるかもしれません。
「分かりました、機会をあげましょう」
母上様が満面の笑みを浮かべています。
私がペネロピを助けると言い出すのを待って下さっていたのでしょうか。
私は母上様の期待に応えることができたのですね。
ですがそれはまだ半分です。
満点を得るためには実際にペネロピを助けなければいけません。
「ですが時間は限られています。
ペネロピとジェラルド王国が侵攻を始める前までです。
私がペネロピ暗殺の手配を終えるまでです」
母上様は直ぐに表情を引き締めて厳しく言い切られました。
私に期待はしていても、任せきりにする事はないのですね。
これが領主としての責任感なのでしょう。
個人の好き嫌いではなく、領民を護る事を最優先にされるのです。
「具体的にはどれくらいの期間ですか」
「最長でも一カ月です。
それまでにペネロピを救う方法を見つけ出しなさい」
私は母上様の満面の笑みを言葉を胸にして、一カ月の間努力しました。
知る限りの知識を駆使して試しました。
その結果は残念なモノでした。
私には人間の心や身体を癒す力はありません。
よく知られた攻撃魔術や防御魔術もありません。
いえ、間接的な攻撃や防御は可能です。
私には木属性の力だけがあるようなのです。
植物を繁茂させることならほぼ無尽蔵にできます。
この力を使えば食糧問題は完全解決が可能です。
つまり無限に食糧を作れるのです。
食糧問題さえ解決できるのなら、争いのほとんどを回避できます。
知れに全く攻撃力や防御力がないわけではありません。
植物を一定方向に急速に成長させることで、攻撃力や防御力に使えます。
特に魔樹を人間に寄生させることで、その人間の魔力を奪える事が分かりました。
ペネロピの心を癒したり改心させたりはできなくても、殺さずに封印は可能です。
将来ペネロピの心を癒すことができるの人が現れる事に期待します。
「母上様、私が必ずペネロピを封印してみせます。
だからペネロピを殺すのは止めてください」
「ええ、分かっていますよプリシラ。
ですがプリシラはペネロピの封印に失敗した時は殺します。
ですが私もペネロピを殺したいわけではありません。
私が殺したいのはペネロピを闇に落としたリンスター公爵とチャールズ王太子。
いえ、チャールズ王太子だけではなくジェラルド王家の全員です。
プリシラが成功しても失敗しても、あいつらは必ず殺します」
母上様の言葉が荒くなっています。
よほど怒っておられるのですね。
私も同じ気持ちです。
ただ私には人殺しはできそうにないので、プリシラ封印に専念します。
絶対にプリシラを母上様に殺させたりしません。
聖女に婚約者を寝取られましたが、人道に外れた聖女は闇落ちしました(闇落ちした元聖女の異母妹とスローライフを送りたい現聖女の姉の暗闘) 克全 @dokatu
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