勝手なことばっかり言ったらいかんよ
……ニーヨ。お前の言う通り、この世界はすべて仮想現実さ。……俺たちは皆、夢を見ている。どこかの誰かが作った、単なる紛い物の世界。幻と言われれば、それにすぎないの場所なのかもしれない。
最後に聞かせてくれ。お前の目から見て、俺の死は、今、どう映ってる……? 今はもう、消えゆく0と1なのか? 昔と変わらず、友人の消滅でいてくれるか? ……クク……悪い悪い、ちょっと、気になってさ……。
……お前がまだ俺のことを友人と思っていてくれるのなら、頼みがある。ニーヨ。お前は、救世主だ。仮にこの世がどこかの誰かが作った偽物の世界だとしても、俺は、お前と過ごしたこの世界を失いたくない。
世界を、救ってくれ。神。大いなる意志。創造主。呼び方はなんでもいい。それが単にこの世界を作った野郎だと思えば、ちょっとは祈ってもいいかもなって、お前だって思うだろ? ……そうさ、同感だ、兄弟。
知ってるだろ。今、地球の裏側じゃ、戦争が行われてる。デカい戦争だ。何万、何十万という人間が、それに参加してる。……頃合いだ、もうすぐ、世界が終わるかもしれない。お前が、動かなければ。世界は、終わる。
お前が何かをしたところで、戦いが止められるわけじゃない。むしろ、戦いを長引かせるだけかもしれない。だが、この世界を存続させることはできる。……やってくれるよな? ……ありがとうよ。救世主、サマ。
このメモを、お前に託す。"魔法の呪文"だ。どういう意味かは、俺にも、分からない。俺のやってきたことは所詮、アテもなく動いた結果のトライアンドエラー、その積み重ねにすぎない……ゴホッゴホッ!
クソっ……。クク……ククク……。お前がいてくれて、良かったよ……ゴホッ。おそらく、ソレは外の世界の言葉だ……。意味なんて分からなくてもいい、それを伝えれば、神は……我等を、救ってくださる……。
あと、一時間ってとこか……。そろそろ、お別れの時間だな……。ソイツを持って……丘まで……走れ……。おいおい……何言ってんだ……? 忘れたわけじゃねぇだろ……? いつも俺達が話した、あの、丘だよ……。
へへへ……。お前には言ってなかったけどなぁ……、あの場所は、世界で一番神に近い場所なんだ……。あの場所にいれば、神は必ず我々を見てくださる……。視線を感じる。言葉が届くって、俺は、思ってんだ……。
さぁ……走れ、ニーヨ。……身体の中から、0と、1とかが、流れ出ていくのを感じる。……お別れだ。大丈夫。振り返るな。お前を引き止めないように、お前が見えなくなるまで、ここでヘラヘラ笑っといてやる……。
……行け!救世主!!!走れ!!!神は我々を救う!!!声を届けろ!!!ここは仮想現実、作り物の中の世界だ!!!声なき者の声を神が聞きたもうことはない!!!走れ!!!そうさ、走れ!!!
お前が救え、この世界を!!!
今、この世界を終わらせるには惜しいからちょっと待ってくれって、お前がクソッタレの神サマに伝えてやれ!!!
……へへ……。
……行っちまいやがった……。
ああ………。
目の前が……暗くなってきやがった……。
神サマ……。
そこに、おられますか……?
私をご覧になっておられますか……?
ここからでも、私の言葉は届きますか……?
敬い申し上げます……。
祈りの言葉を……。
言葉を……お聞きください……。
ゆ、\u304A……ゴホッ……!
\u304A\u6BCD\u3055\u3093\uFF01……!
\u4ECA\u30B2\u30FC\u30E0\u3044\u3044\u3068\u3053\u308D\u3060\u304B\u3089\uFF01……、
\u96FB\u5B50\u30EC\u30F3\u30B8\u4F7F\u3046\u306E\u3061\u3087\u3063\u3068\u5F85\u3063\u3066\uFF01……!
お慈悲を……。
慈悲……を……。
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