条例第18条の2第2項に規定する自主規制団体からの聴き取り結果

条例第18条の2第2項に規定する自主規制団体からの聴き取り結果


(2128年11月7日実施)


【ゲーム名等】

MANIA THE WINNER

おっとどっこい子作りファクトリー ~至急どシコリ申し上げます~

2128年1月20日発行


【聴き取り内容】


ストーリーは純愛もの相当と言えるが、「禁断の愛」といった特定行為に対する過剰表現が散見される。行為一連の追体験を仮想空間で実施するシステムだが、器具に対する修整はあるものの非常に甘く、描写の意図を考えると指定やむなし。


修整が甘いところがあり、歪んだ性描写も多く指定やむなし。


タイトルそのものに一般化した性行為に対する歪んだ印象を受けた。擬音、液体などの描写も激しく、卑わい感を増している。また公的機関が発表している性関連情報を穿った目で見るかのような示唆も多数存在するため、指定該当やむなし。


暴力的、人格否定的な要素はない。ただし器具一般に対する過剰な性的デフォルメ、擬音、施設職員に対する偏見を助長しているように感じられた。スポイトを使えばドピュ、試験官を使えばヌチャ、科学的知見から見ても誤りが多く、青少年育成の目的にはそぐわない。指定該当やむなし。


指定該当。全体的に修整が甘い。逆に過剰に修整かけることで生命の誕生そのものを無理に性的に見せかけている場面すらある。特定培養施設の入り口やバイオチェンバーなどをモザイク化、DNAをヌラヌラと体液で濡れたかのように描くシーンなど、見るに堪えない。不健全指定やむなし。


ストーリーがあまり深くない印象。特定培養施設でのクローン培養工程の描写のみに終始している。人格否定は感じられないが、バイオチェンバー内の遺伝子配合描写はリアル。過剰表現というべきか、コンベアやカプセルが全体的にヌラヌラしており言語化しにくいが卑わい感もある。指定該当。


性器及び培養胚一般は全体的にモザイクがかけられているが、修正に統一性は無く、甘い消し方が多く見られる。仮想現実上に薄くモザイクテクスチャが貼られているだけで、身をかがめれば隙間から行為が露出するようなシーンも多い。製品品質としても疑問。指定該当。


とにかく修整の甘さが顕著。クローン培養による新生児出生が一般的になった現代において、培養手順そのものを性的に見る向きを、作者がどこまで意図しているのか甚だ疑問。少なくとも手順に対し一般社会が求める通常の倫理基準ははるかに逸脱している。行為を肉体行為に置き替えたとしても問題なく指定該当。


特定培養施設でのクローン培養手順をひたすら性的に描いている。恋愛漫画的演出を意図しているものと思われるが、単純な医療的御情報とも言える描写も多い。プレイヤー層を選ぶ作品であるとは思うが、既に一般化して受け入れられている土壌もあり、条例の要請するところに合致すると思われる。指定該当。


培養施設のアンドロイドを主人公として描いているが、作業時頬を染めて震えるなど過剰なデフォルメが多い。「あ、あ、遺伝子変わっちゃう」s63 「生まれてきちゃおうね」s255 などの不適切発言も多く、アンドロイドを迂回することで規制を回避しているとみられる場面もあり、実質的に修整の体をなしていない。指定該当。


常識ではありえない全裸描写、細胞の露悪的拡大描写が激しい。特定培養施設の卑わい化、ひいてはその運営者である東京都行政に対する卑わい化まで見受けられた。直接的な人格否定は感じられないが、事実に基づかない卑わい化もまた否定の一種であり、青少年には不向きである。指定該当。


ビジュアルのタッチが可愛らしい。デフォルメが激しい作品でもあり、あまり行為にリアリティは感じなかった。 一方、一部マイノリティの描き方が否定的な箇所が気になった。総合して青年レベルを超えているかなと印象であり、ギリギリ指定該当。


バカバカしい表現が多く、現実感がない。ギャグとしてやっているかどうか微妙なシーンが数多く存在し、結果として卑わい感は少なく感じられた。ただしクローン培養施設による出生者は既に人口構成の6割以上を占めており、社会的に性的描写として十分受け入れられている。ギリギリ指定該当。


脂ぎったレンダリングに評判のあるクリエイターの作品であり、今回は培養施設の機器など無機物を性的に見せようとしたために、逆に過剰に性的な印象を与えてしまっている印象。前年度審査対象に上がったアダルトゲーム一般と比較して過剰に性的とまでは言えず、配慮は見て取れる。指定非該当。


性器処理は完全になされている。ただし、バグなどで見えてしまうケースも多々残っているため、メーカーには別途アップデートが求められる。培養施設での露出を肯定的に描くなど、培養施設に対するモラル欠如でもあり、青少年向きではない。一般的性行為を過度に野性的に描く部分も少し気にかかった。指定該当。


保留。「著しく性的感情を刺激する」には該当しないと思われるが、自身の判断が現在社会で要請される基準にどこまで合致するかが分からない。修整が甘く、培養器具が露出してしまっているシーンもある。露出してしまった培養器具は一般的なものではある。メーカーに対し再度聴き取り調査を行うことが望ましい。


人格否定に該当する様な描写は無い。手錠をしたり、目隠しをするなど人格否定につながりかねない描写はあるにはあるが、登場人物たちはその状態で培養作業を行っており性的な関係性を見いだせなかった。総合的に判断し、保留。


保留。培養施設物は現在すでに一般的なポルノの一ジャンルではあるが、過去不健全メディア指定において判断が下されたことがなく、指定には別枠での議論が必要なように思う。「描写の可否」を語る以前に「描写の可否を語る可否」を語る段階であり、不健全メディアとしての条例適用を判じるのは時期尚早。


一連のクローン生成技術における要点は修整はしっかりされていて配慮がみられる。総合的にみて許容範囲。ただし肉体的性行為を「禁断の愛」と称してより野性的、より特別な行為として描くなど、少数者に対する配慮が欠けているように思われた。条例施行規則第15条第1項第一号のにおける人格否定に着目すべき。保留。


どこまで本気で性的描写を目指したか図りかねるところがあり、遊んでいてなんだか気が滅入ってしまった。意図するところが分からないため判断しかねる。保留。

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