第17話 セフェク ⑥
——
積み上がった
「下品で、見た事もない、悪趣味なゲートですね …… 」
——
体液まみれの巨大な頭蓋の口が、不気味に静かに開くと、漆黒の闇の中から、その者は歩みながら現れた。
—— クックック
足元から少しづつ、その容姿が見えてくる。
「久々に …… 笑わせてもらったよ。これが笑みってやつだろ? 久しく忘れていたものだ」
全身を黒い装束で覆われ、装飾類には
「そのゲート、
セフェクは、まさにこれから
「君は馬鹿なのか? 何かが日常と
その刹那、セフェクはその者の喉元に爪を立てた。
——
——
「ほぅ …… 」
「えっ!」
引きで見ていたトトですら何が起きたのかは認識できず、思わず驚きの声が漏れた。
正確には、その者の喉元はセフェクに掻き切られたように見えたはずが、不思議と先ほどまで積み重なり、醜く破裂していた異形の一つと入れ替わっていた。
「おもしれぇな …… お前」
——
瞬間、セフェクは右腕に違和感を覚えた。いや、右腕があった場所に違和感を覚えたというのが正しい。
——
右肩の切断面から大量の血液が吹き出る。セフェクの右腕は繋がる先を失い、ボトンと地に転がっている。
「おいおいおぃ〜、お前セフェクだろぉ〜? 噂以上に生意気じゃねぇかよぉ〜」
セフェクたちの耳に別の声が聞こえてくる。
「なっ! いつの間に …… 」
トトは声のする方に目を向けると、いつの間にか辺りを囲まれている事に気づいた。
「ベゼブさぁ〜ん、大丈夫っすかぁ〜?」
見た目からして若く、男とも女とも見て取れる者が、軽い抜けた声でセフェクと対面している者に話しかけた。
「ああ、気にするなディーヴ。そしてよく見てみろ。不思議だな」
「ん? あぁ! あれぇ? 右腕があるぅ?」
突如切断されたセフェクの右腕は、すでに元通りに戻っていた。
「はっはー! 暫くは楽しめそうじゃねぇか!」
セフェクは気持ちよく口角を上げた。
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