第8話 百万 一与 ⑧
「どういう事ですか、ヤチホコ
イチは驚きを隠せないでいるようだ。
「トーレよ、あの時お主はどこにおったかの」
「ハレヒメの隣だ。ヤツが突然イチとオレの間に割って入ってきた」
トーレは単調に、
「お主はすでにジンを発現させているな?」
「
「ふむ …… 能力が発現していないハレヒメと、生まれながら能力が発現しているトーレを比べてみると …… イチ、分かるな?」
「そんな …… 」
「ハレヒメはなんらかの偶発性トラブルにより、
「問題なのは、ハレヒメが
「タイムリミット …… 」
「先ほども話したように、
「そんな! すぐに連れ戻しに!」
イチは立ち上がり、
「気持ちは分かる。だが、状況はそこまで
「ハレヒメを連れ戻せないという事ですか!」
「慌てるでない。ゲイトを使い、国交もなく半ば強行的に人を連れ去るなど、決して許されて良いはずがない。そこはワシもイチと同じ気持ちじゃ。だが、事は慎重に進めなければならないという事じゃ。相手は
「ハレヒメも八つ国の民です!」
「そう決断を思い込むな。神職を救出へ向かわせられないとは言ったが、それは常時向かわす事が出来ないという意味じゃ。すなわち必要な時間、必要な場所に、必要な人数だけを割く事で、リスクは最小限に回避できる。そのタイミング、戦略を図る為にも、まずはハレヒメの状況を把握する必要があるのじゃ」
「 …… 誰かが向かってくれるのですか?」
イチは、はやる気持ちを抑えながら言葉を選ぶ。
「ここからが更に重要な話となる。決して他言せず聞いてほしい。ハチモンが見せたが、先ほどのゲイトというのは誰しもが簡単に、何処へでも開けるものではない。出現させる空間を自らが細部まで認識しており、己のイメージと現実の座標をピタリと一致させる事が前提条件となる。この条件は他の条件で相殺する事も可能じゃが、禁術が多い。質量被害がなかった事から今回は正規の方法でゲイトを開いてきたとみて間違いないじゃろう。言っている意味がわかるか? 世界中で国交が途絶えてる時代に、
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