第12話

俺と親父とお袋と3人で公園にいる。

俺は親父に肩車をしてもらい、大喜びしている。平和そのものの風景だ。


お袋は広げたゴザの上に座っている。

横にはお弁当かな?がおいてある。


いつの記憶なんだろう。こんなこともあったんだ。親父もお袋も笑っているのはわかるのに声も顔もわからない。


「……くろ、お袋」

「ナツキ、起きて。ナ、ツ、キ」

寝てた?

「良かった。うなされてる訳じゃないけどさ、つらそうで」

ヒナタに言われて気付く。泣いてた。


「小さい頃のかな、3人で公園にいた。でもお袋たちの声も顔もわからないんだ」

ヒナタが俺の頭を優しくなでていた。


「お母さんが遠くにいるってわかったらどうするの?」

ヒナタが聞く。それは解答のない問。

俺はずっとお袋を探してはいるが未だに手がかりすら見つかってない。


「わからない。でもヒナタとは離れたくない」


絞りだすように言う。嘘のない


「そろそろ送ろうか」


夜も遅くなってきた。

約束の時間が迫る。


数分の時間も惜しむように歩いてヒナタを送る。


「おやすみ。またね」



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