第12話
俺と親父とお袋と3人で公園にいる。
俺は親父に肩車をしてもらい、大喜びしている。平和そのものの風景だ。
お袋は広げたゴザの上に座っている。
横にはお弁当かな?がおいてある。
いつの記憶なんだろう。こんなこともあったんだ。親父もお袋も笑っているのはわかるのに声も顔もわからない。
「……くろ、お袋」
「ナツキ、起きて。ナ、ツ、キ」
寝てた?
「良かった。うなされてる訳じゃないけどさ、つらそうで」
ヒナタに言われて気付く。泣いてた。
「小さい頃のかな、3人で公園にいた。でもお袋たちの声も顔もわからないんだ」
ヒナタが俺の頭を優しくなでていた。
「お母さんが遠くにいるってわかったらどうするの?」
ヒナタが聞く。それは解答のない問。
俺はずっとお袋を探してはいるが未だに手がかりすら見つかってない。
「わからない。でもヒナタとは離れたくない」
絞りだすように言う。嘘のないオレの今の気持ち。
「そろそろ送ろうか」
夜も遅くなってきた。
約束の時間が迫る。
数分の時間も惜しむように歩いてヒナタを送る。
「おやすみ。またね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます