第9話
玄関入って、右にトイレ。上がって左手に炊事場、その奥に風呂場。
炊事場を背にして奥に2部屋。裏には少し広めの庭のようなものまで。
左側の部屋に小さなテレビが置いてあった。
その前に丸いちゃぶ台。
右の部屋には布団が二組。
………?
えっ、二組?
「まだ早いがいずれいるだろが。それとも1つの布団で?」
バイト先の先輩がニヤニヤしながら荷物を置いていく。
「なんのことですか!!」
耳の先まで真っ赤になりながら炊事場をのぞく。
さっきみたときに何か、あったような……。
あっ、歯ブラシも二つ!!
「先輩っ、何を考えてるんですかっ。いい加減にしてくださいよ」
「食器も終わりです」
「こっちもっす」
次々と終了の声が上がってく。
「ご飯の用意もできてますよ~」
ヒナタたち女性陣の声も。
倒壊寸前だったあの団地の離れの家がみんなの手で見違えるような立派な家に変わった。荷物もみんなが持ち寄りカンパしてくれた。
ハジメテノオレノイエ
オレナンカガイエニスンジマッテイイノカ?
ヤルコトアルダロ。
「ナツキ、ご飯!早く。なくなっちゃうよ」
ヒナタの声に我に返る。
「すぐ行く」
みんなの輪の中にいながらも俺は不思議な感情に包まれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます