第6話
ご飯に手をつけかけたとき、玄関のドアをノックする音が聞こえ、間髪入れず
『入りますよ』
と女性の声。ヒナタだ。
コウスケを見る。何事もないかのようにコウスケはグラスにビールをついでいる。すぐに部屋の襖があき、ヒナタが顔を出す。
「ヒナタもきたな。ま、座れ。ナツキも」
俺は事の次第が飲み込めず、半分立とうとしていた。そのまま、フリーズ。
ヒナタはと言えばキョトンとした顔でオレとコウスケを交互にみている。
「なんかあったの?」ヒナタ。
「ハメたな、店長。」俺。
「コウスケでいいさ。いつも通りで。なんもはめとらんで。ワシ。うん。この際だからナツキのこと、ちゃんとヒナタに話しとった方がいいと思ったから。全部ね。俺から言うより自分で言った方がいいだろ。」
ビールを一口飲んでから。
『心配するな。ヒナタはそんな子じゃない。俺が保証する』コウスケは俺に耳打ちする。何も言えずに下を向くオレ。
優しく俺の肩に手を置きヒナタは
「ナツキのこと、全部知りたい。教えて」
オレは拳をギュッと握りしめる。
白くなった、俺の拳が見える。
「ナツキ……。嫌なら無理強いしない。
でも、急に居なくなったりしないで。
お願い。怖いの。また明日、のあと本当にちゃんと会えるのかって考えると。本当はナツキなんていないんじゃないかって」
ヒナタがポロポロと涙をこぼす姿にいたたまれない気持ちになりヒナタをギュッと抱きしめる。そのまま、髪を優しくなでる。
「聞いて欲しい。コウスケと奥さんにしか言ってないことだけど。かなり重い話しだよ。いい?」
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