第5話
「俺さ、辞めようかと思ってる」
悩みに悩んでコウスケの家まで押しかけてきていた。玄関のドアがあき、コウスケの顔を見るなりの一言。気持ち的には何故か泣きそうだった。
コウスケは「まあ、あがれ」とだけ言って奥に消えた。
お邪魔します、と声をかけてあがる。
「ご飯、食べた?」言いながら台所から奥さんが顔をのぞかせた。
「お構いなく」とだけ答える。
「久しぶりなんだから泊まってくよね」
奥さんの迫力に押され気味のオレ。
コウスケは奥さんにシッシとするように手をふり少し、考えてから。
「とりあえず、風呂済ませてこい。それからだ」
「落ち着いたか?」
「まあ、少しだけ」
そう言ってコウスケの横に座る。
風呂に入ってる間に用意された服は俺のサイズだったこと、新品だということに驚く。以前、間に合わせで着たコウスケの服はブカブカだった。
「間に合わせだけど喰えよ。喰いながらでも話せるよな」なにが間に合わせ、だよ。精一杯の手料理がたくさん並べやがって。それもオレが以前美味しいと言ったものばかりがならんでる。
『意地悪』オレのつぶやきにコウスケはニヤっと笑ってオレの頭をワシワシっとした。
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