第3話 波瑠見優
波瑠見 優はあたしの名前。春子ちゃんとは学生時代からの友達、卒業してからもちょくちょく連絡を取り合っていて、特に結婚してからはお互いの愚痴とか悩みを相談してる。春子ちゃんは最近色々あってこっちに帰省したみたい、実は私もかなり悩んでいる。この日は久しぶりにランチの約束をしてたんだけど、緊急事態宣言が出たから電話で話すことにした。
「ありえないよね、今までどんな思いで一緒に生活してたのかって話よ」
「そうだよね…」
「あぁごめん、またあたしばっかり喋ってた。優の悩みの話聞かせてよ」
春子はひとしきり自分の話をした後、必ずあたしの話を聞いてくれる。気を遣ってくれるからこそ自己主張をしっかりするスタンスはあたしにとって気持ちがいい。
「実は千代のことなんだけど、最近学校でトラブルがあったの。あたしが看護師をやってるから学校でクラスメイトに菌がうつる〜とか言われたらしいの」
「何それ!最低じゃない、あたしがそんなヤツぶっ飛ばしてやりたいよ。千代ちゃん大丈夫なの?」
「それがね、春子ちゃんと同じように担任の先生もかなり怒り心頭で、そのクラスメイトも含めてクラス全体に説教したんだって」
「なかなかいい先生じゃない、小学校教師も見捨てたもんじゃないね」
「でもね、それが相当厳しく言ったみたいで、それからクラスのお友達も千代に対してなんとなく声をかけ辛い雰囲気ができちゃったみたいなの。千代もそれがわかってるから、なんとなく学校が居辛いみたいで今日は学校休んじゃったのよ」
「えぇ〜そんな千代ちゃんはなんも悪くないじゃない、なんか納得いかないわ」
「そうなのよね…千代もそれはわかってるみたいなんだけど、なんか上手く気持ちが言葉にできないみたいで、あたしも気持ちをわかってあげられないのよ」
「小学生は小学生なりに感じるものがあるからね…」
春子はそれからも自分の意見をしっかり話しながらあたしの話を聞いてくれた。問題が解決したわけじゃないけど、あたしのモヤモヤした気持ちはだいぶ晴れていった。千代と向き合う勇気をもらえた気がする。
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