デートと年の瀬 9ヶ月目

2学期もあっという間に過ぎ、冬休みも目前に迫っていた。

クラスの雰囲気も完全に冬休みモードだ。



私はいつものように優芽と話していた。


「もう1年終わりかぁーこの間1年頑張ろーって言ってたばっかりなのに……

夏美もそう感じない?」


「確かに、小さい時は1年が長く感じたのに今はほんと一瞬だよね」


「てか、もうすぐクリスマスじゃん!今年も戦いの時期が来たか……クリぼっちだけは回避しなければ!」


「戦いって……で、一応聞くけど今までの戦績は?」


「………0勝全敗」


「優芽……ごめん、悪かった……」


「なんで謝るの!その反応が1番辛い反応だからやめてぇ!」


「いや、私が聞いたのが悪かったよ……」


「やめてぇ!お願い、思う存分馬鹿にしてくれ!」

これ以上からかうと可哀想なのでほどほどにしておいた。



「でも、夏美はいいよね。クリスマスデート行くんでしょ?」


「あーまだクリスマス予定ないんだよね」


「それ本当?絶対誘って行った方がいいよ!付き合ってから初めてのクリスマスなんだから思い出に残さなきゃ!」


「そうだよね。優芽ほんと恋愛に詳しいね、ありがとう…!」

その割に彼氏出来たことないのが不思議だなと思ったが心にしまい込んだ。

心無しか優芽の視線が鋭くなった気がする。

まあ、気のせいだろう……。



昼休み、いつものように雄貴と一緒にお弁当を食べていた。

私はそれとなく言ってみる。


「そういえばしばらく遊んでなかったからまた遊びに行きたいなー」


「じゃあ、今月どこかに行く?19日とか空いて──────────」


「あ、私25日空いてる!この日は行けるなー」


「23とかはどう?この日も空いて──────────」


「25日が1番都合いいかなぁーこの日1日暇だから誰か一緒に遊べる人いないかなぁー」


「25日僕空いてるから一緒に遊びに……」


「ほんと?!偶然だね、私も空いてるんだ!楽しみだねー」


「う、うん……じゃあ、前行けなかった水族館に行かない?」


「うん!そうしよう!」


「次はスマホの充電忘れないようにしないとね」


「その度はすいませんでしたぁ……」


こうして、ごく自然に雄貴をクリスマスの日、遊びに誘うことが出来た。





それから数日経ち、デート当日25日。

今回はスマホもちゃんと確認したし、5分前に集合場所に着けた。

待っているとすぐに雄貴が来た。


「おまたせ、待った?」


「私も今来たばかりだから大丈夫、ちゃんと会えて良かった」


「さっそく行こ!楽しみだなー!」


「夏美はもう何年も行ってなかったんだったよね?」


「うん、この間く雄貴を探しに水族館の前までは来たけどね」

少し笑って言う。


「そこまで探してくれたんだ。ごめんね」


「ごめんじゃなくてありがとう…だったよね?」


「ふふっ、そうだったね。ありがとう!」


そんな話をしているうちに水族館に着いた。

チケットを買って中へ入る。


中は普通の水族館と同じく薄暗い感じになっていて、人が思ったより多かった。

水族館の前まで来た時もそうだったが、やはりカップルの客が多い気がする。

クリスマスということもあるからなのか?


しばらく見て回っていると、少し悪戯心いたずらごころが湧いてきた。


「えいっ!」

横を歩いている雄貴の手の場所をさりげなく確認して握った。


「んっ!夏美、どうした?」

計画通り動揺しているのが分かった。


「えっ?手繋ぐの嫌だった?」


「いや、そんなことないけど……」

そう言って顔を私に見えない方向に向けた。

私は照れてる様子を見て満足したが、思うようにはいかなかった。

雄貴が恋人繋ぎで手を繋いで来たのだ。


「あっ…!ちょ…」

油断していた私は動揺する。


「恋人繋ぎ嫌だった?」

さっきやった事をそのまま仕返しされたので凄く恥ずかしくなる。一泡吹かされてしまった。





一通り見回って、売店で魚のぬいぐるみなどを見ていた。

「ちょっとトイレ行ってくる」

雄貴がそう私に言ってトイレに向かった。


私はそのまま売店で色々見ていると私の前に誰か来たのに気づく。



トイレから帰ってくるの早いなと思い、顔を上げるとそこに居たのは雄貴ではなかった…………


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