入学後に迎える最初の壁 2ヶ月目
「ああああああああぁぁぁぁ!!テストぉぉぉ!」
教室に響く悲痛な叫び。
このくだり2週間前にも見たような…え?デジャブ?
急に叫び出したちょっと変(笑)な子はもちろん私の友達の優芽。
ん…!馬鹿にしたからか一瞬こっちを睨んできた!普段あんなんだけどほんとに超能力者か何かじゃないのか?!
「一応聞くけどさ、どうしたの?」
「明日からテストでしょ、勉強全然できてないでしょ、ああああああぁぁぁ」
「すぐに叫ぶな!うるさい!まあ、なんとなく予想はしてたけどね…」
私の言葉に教室の中の人達はうんうん、と頷く。
「頷くなぁぁ!私だって勉強すればそこそこの成績は取れるんだから!」
「いや、今の状況的に説得力ゼロなんだけど」
ガーンという効果音が聞こえそうなくらい口を開けてガッカリしている。
そして机に崩れ落ちるように伏せて動かなくなった。
このシーンもどっかで見たような……まあ、触れないでおいてあげよう…
うん、そうしよう。
「中間テストってほんと憂鬱だよねー」
「そうそう!こっちは入学したばっかりの気でいるのに…」
「いつまでもそんな気でいるなってことなのかなぁー」
そんな会話が聞こえてきた。
ほんとそうなんだよね…中間テストに限らずテストが終わった!と思ったらまたすぐにテスト2週間前が来るもんなぁ…あと、テスト前2週間と普通の2週間だと何倍も時間が違って感じるよね。
その後、1日特に変わったことは何もなく勉強をして過ごした。
中間テストは事もなく順調に進み、最終教科の終了5分前になった。
私は間違いがないか念入りに見直しをしている。
1分、1分と時間は進み、終了の合図のチャイムが鳴った。
その瞬間教室には『終わったぁー』『疲れたー』という気の抜けた声が次々と上がる。
私も伸びをしていると優芽が私の席に近づいてきた。
「やっとテスト終わったぁぁー」
疲れ切ったような声で優芽が言った。
「お疲れ、解いた感じ手応えありそうだった?」
「手応え?スゴクアッタヨー」
カタコトだったので察して優芽に向けて手を合わせた。
「何で2人して手を合わせるのよ!」
ん?2人?と思って横を見ると優芽の幼馴染の村下くんがいた。
訳あって私が初対面ながらイケメンじゃないと言ってしまった人だ。
「てか、何であんたがいるのよ!」
「別にいたらダメじゃないだろ?誰かさんをからかいにいこうと思って来たんだけど、目的が達成できて良かった良かった」
満足そうに笑いながら話している。
「くっ……まあ、勉強しなかった私が悪いんだけどね…自業自得ってやつか…」
「終わったことはしょうがないじゃん!期末で頑張れば大丈夫だから頑張ろ!」
テストが終わったばかりなのに落ち込んでいるのは嫌なので励まそうとする。
「ぐずっ、夏美ぃぃ……!」
感極まった顔で抱きついてきた。
あれ?このくだりも前にやったような…まあいっか。
それから数日が経過した。
教室内はざわざわしていてうわついている。
私も同じくその中の1人だった。
それもそのはず、今日はテストの結果が張り出される日だった。
張り出される紙には上位100位以内の人と総合の平均点が書かれている。
「夏美、張り出されたら一緒に行こ!」
「うん、そうしよう!」
「ドキドキするね……」
「まあ、優芽はあんまりドキドキしなくても良いと思うけどねー」
村下くんは悪気があった訳ではないようだけど優芽の顔が険しくなった。
「あ?なんか言った?」
「いえ、何も言ってません」
それを見て優芽をあまり怒らせないようにしようと思った。
「テスト結果張り出されたぞー!」
廊下からそんな声が聞こえてくる。
それを合図にするように教室から人が流れ出ていく。
私達もその流れに従うように張り出されている場所へ向かった。
張り出されている場所に着くと想像通り人が沢山いたので人が少なくなるのを待った。
文字が読める場所まで来ると100位から順に辿っていく。
50位まで辿ったが私の名前はなかった。30、10と辿るも全く無い。
テストミスったかなーと考えていると横にいた優芽が驚いた声を出した。
「えっ?!夏美4位じゃん!すごっ!私にちょっと点数分けて欲しいくらいだわ(笑)」
うそ?!と思って続きを見ていくと優芽の言う通り4位に私の名前があった。
「ほんとだ…やったぁ!一瞬ダメだったのかと思った…」
平均点だけ確認しておこうと思いもう一度貼り紙に目を向けると意外にも1位に知っている名前が書いてあった。
1位 山之上 雄貴 857点
一瞬目を疑ったがしっかりとそう書かれていた。
イケメンな上に勉強もできるなんて少し嫉妬しそうなくらい羨ましく思う。
ちなみに優芽の結果は……少し落ち込んでたのでなんとなく察した。
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