第8話今日も足立さんがやってきた-2-

「え、足立さん 、足立さん?なんで?」


駅の改札前で僕はひたすらに取り乱していた


どう見ても足立さんな彼女に足立さんかと聞き出す取り乱し具合



「えへへ、また来ちゃったよー!あ、でも明日は学校行くよ!あ、そうそうあたしは学校をサボる十条くんを学校へ行かせようとして来たんだよ、うん。優等生ですからね。おサボりしてるクラスメイトを学校へ行かせなきゃって思ったらつい足がっ、、なんだよねっ」



会話になってるようで、、ないぞこの流れ




「今日の今日行ってない足立さんが言っても、、


「十条くん?」



「なんでもないです、ありがとう足立さん」


「そんな気にしないでっ!」



やっぱり違う気がするけど



「そうだよねー、誰かが言わなきゃきっと明日も僕はつい、、で、休んでたから良かった良かった」


ま、いいか



そこまで言うとちょっとほっとしたような足立さんの表情



冗談半分で、いきなり来て迷惑じゃなかったかって不安が見え見えの彼女の表情に笑顔で返した


改札前で立ち往生してもなんだし、僕はじゃあ行こっか、と促す



やっぱり迷惑だよね?


と、今にも言い出しそうな程に真顔で不安そうな表示になる足立さんにちょっと笑いそうになった




「びっくりさせてみよーかなって思っただけなんです。。昨日からのノリと言いますか、ええ、、、」



静かな川の音が流れる


もう家を前にして、時間差で冷静になってきまずくなり突然弁解する足立さん



え、待ってなんで気まずくなるの?



あ、結構僕嫌な顔してたとかかな


そう思うと、気まずくなってくる僕まで


びっくりしたしちょっと慌てたけど、別に迷惑だとかそんな事は思わなかった


「びっくりはしたけど、大丈夫だよ全然。大丈夫、びっくりしたから作戦は成功だよ足立さん、ほんと気にしないでって」


今2回目のびっくりがあるからほんと大成功だと思う


「なんの予定もなかったし、夜遊び2日連続も楽しそうだし、いいんじゃないのかな」


気を使って言った訳でもなく自然と出た言葉


今度こそ足立さんはほんとにほっとしたようで笑顔へと変わる



良かった、それを見て僕もほっとした


なんでそんな僕もほっとしたんだろう


いや、気まずい雰囲気じゃ嫌だもんな


それだけだ、うん



こうして今日も僕の家に足立さんがやってきた






「あ、そいえばっお腹空いたらゆってね!」


部屋に着き、荷物を置くと足立さんはバッグから荷物を出した



「はいこれっお土産。うちの店のメニューだよっ、タッパに入れて持ってきたんだよっ!」



ドリアとサラダを入れたタッパを2つ、それと水筒を取り出す足立さん


「それはオニオンスープ入ってるからねーっ」


賄いで夕食は済ませたし、朝にでも頂こう



「わざわざありがとう」


僕はそれを受け取りキッチンの冷蔵庫へ閉まった


「足立さん、飲み物どうするー?」

ドアの向こうの足立さんに声をかける


「十条君のお任せでーっ!」


「はーい」


アイスミルクティーをカップ2つ注いで戻る


「ありがとーっ!」



いつの間にか自分で持ってきたであろうパジャマに着替えた足立さんは、昨日と同じようにベットの上でYouTubeを観ていた




昨日の今日だから不思議な感じはしないけど、


やはり気恥しさはある


「面白いのみつけたよー! 」


自分の隣をバジバシと叩く足立さん


僕のベッドだけれど、やはり気恥しさを覚える


隣に失礼してYouTubeを一緒に観る







そうして暫く動画を観てると

気づけば深夜1時になっていた


足立さんはまだ動画に夢中だ


シャワーを浴びようかと思ったけど、バイト前に入ったし、洗顔だけして朝起きたらシャワーを浴びようと浴室に洗顔を済ませに行く


さっぱりして、日課のキッチンで深夜の一服


紫煙を燻らせる


ふわりとした煙が換気扇に吸い込まれ消えていく




「あ。また不良の十条君」


扉を開けて、ひょこっと顔だけを出して含み笑いを浮かべる足立さん



「ま、習慣、、なんだよね?」

隣に来て、ポツリと零し、ミルクティーをちびちびと飲む足立さん


なんだか悪いことをしてしまってる気分になる


そして、その一言が意味深に感じる




ミルクティーを飲み干すと、足立さんは歯ブラシを手に取り歯を磨いた


そして昨日と同じようにハルシオンを3つ、ミネラルウォーターで流し込んだ


僕はそれを煙草を吸いながら眺めていた


丁度、火を消した所で彼女と目が合う


沈黙が流れた



無言で、足立さんは昨日と同じように銀色のフィルムを僕に差し出した


僕が煙草を吸うのを見越していたのだろう


眠れいないと煙草が結びついてるから



僕も無言でそれを受け取りミネラルウォーターで流し込んだ



カップ2つ、ミネラルウォーターを注いでベッドの隣のテーブルに置いて


2人ともベットに寝転ぶ


「十条君、なんかごめんね」


足立さんは突然酷く申し訳なさそうに呟いた


昨日と言い、急に弱気になるというか、なにかに押しつぶされてしまいそうに見える足立さん


「何も謝ることなんてないよ」


僕は返した


実際困惑はしたけど、迷惑だとは一切思ってないし


「ありがとう」

「気にしないで」


そんな事を何度か繰り返すうちに


足立さんは僕にか弱い力でしがみつくような体勢になり、静かになっていった


僕もふわふわとした眠気に身を任せ眠りについた

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