第9話足立さんと登校した
電子レンジであろう
チーン、という音がして僕は目を覚ました
体を起こしテーブルのカップのミネラルウォーターを飲み、キッチンへ顔を出す
「あ、起きた?おはよーっ」
足立さんは昨日持ってきてくれたドリアなどを温めていた、朝食の準備をしてくれていた
なんと、、、申し訳ない
気を遣わせてごめん、と言うより先に
すぐ出来るから座っててと、冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを手渡された僕は大人しくテーブルについて2人分のカップにミネラルウォーターを注いで朝食を待った
「おまたせーっ」
と、足立さんはテーブルに朝食を並べてくれた
2人で朝食をすませる
やっぱり過ぎる(よぎる)不思議な感覚
「あ そいえばごめんねっ、シャワー借りたよ」
「え、全然いいよ。って僕も浴びてこなきゃ」
食器を手に取ろうとすると、足立さんは
「学校行く支度しなきゃねー、あたしもうほとんど済ませたし、ほらっ十条君も支度しといでよっ」と足立さんは食器をキッチンに持って行き洗い物を始める
洗い物まで申し訳と思いつつ、遅刻させるわけにもいかないのでバスタオルと着替えを用意しシャワーを浴びて髪を乾かす
バイト前は前髪をワックスで上げるけど、学校へはセットなどしていかないのでそんなに時間も掛からず済む
ドライヤーをあててると足立さんが何か閃いたというか、思いついたような顔をしてこっちを見ていた
というか足立さん、なんでクラブの時の髪と化粧なんだ
「どうしたの?」
「十条くん、ちょっと提案が」
いたずらっぽい笑みを浮かべてるあたり、何か少し嫌な予感がした
「ワックスとアイロン」
ああ、やっぱり
「嫌だよ、面倒なんだよ結構」
なにかと聞く前に答えるけど
あたしがやってあげるからとアイロンをコンセントに挿す足立さん
なんで学校行くだけなのに髪をセットしなきゃならないんだと思うも、すぐに170℃になったアイロンで僕の後ろの髪を伸ばす足立さん
こっち向いてと言われるがままに前髪とサイドもアイロンをかけられ、ワックスでセットされていく
とても満足そうな顔をする彼女に、まあいいかという気持ちになる
どうせ誰が気にするわけでもないしいいか、と
なんだかんだで時間がかかり遅刻ギリギリで登校する事になった
ほんとに漫画やラノベでありそうなギリギリ具合
クラスメイトがなんだか驚いたような顔で僕らを見ていた
いや、まぁそりゃそうか
普段学校で人と干渉しない僕と足立さんが同時に登校して、一緒に来たと思われるのもあるだろうし、2人とも1度も学校へはしてこなかったスタイルで登校
まあ足立さんに驚いてるのだろうきっと
「え、あれ十条君?てか足立さんギャルになってない?なんで一緒なの2人?」
ヒソヒソとそんな声が聞こえてくる
目立ちたくない、なんだか恥ずかしい
うーんなんで足立さんこんな事を
「身支度かかっちゃったけど、間に合ったね十条君」
なんだか台詞くさい言い方で少し大きな声で言う足立さん
いや、待って
何その一緒に家から登校して来ましたみたいな言い方
男子は何人か青い顔をして、女子はテンションが上がっている
席に着くと足立さんに速攻で話しかけ、なにか聞いてるような周りの席の女子
僕も後ろの席の田中くんや隣の席の女子、品川さんに「十条君、足立さんと一緒に登校して来たの?!てか凄い髪型いつもと違くない?」と驚きながら声を掛けられる
「え、いや、、その、、」
としか答えれなかった
直ぐに先生が来てホームルームになったものの、一限が終わった休憩時間僕も足立さんも質問責めだった
誤解だよ、みんな
誤解なんだ、いや事実だけど誤解なんだ
今日が進級してから一番まともにクラスメイトと話した日となった
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