絡新婦(じょろうぐも)

第7話、スパイダーウーマン

「いらっしゃいませ」


「あの、仕事を紹介してほしいんですけど」


「では、こちらの用紙にご記入をお願いします」


「はい……

できました」


「お名前は絡新婦(じょろうぐも)さんですね。

変身は不可で手足やお尻から糸を出せる。

25歳、独身。

えっと、ハリウッドからスカウトに来ませんでした?」


「あまり人前ではやりませんから……」


「その美貌なら、ヒロインとしてやっていけると思いますけど」


「英語はあまり……」


「2カ月、駅前留学してください。

費用はこちらもちで、収入は50%の折半です。

あとの段取りはこちらでいたしますから」


「はい、よろしくお願いいたします」




デビュー作は「スパイ〇ーマンvsスパイダーウーマン」。


問題は、糸が細すぎて、画面に映らないこと。

逆に、そこを強調して、「あんたなんか偽物よ」というセリフで大ブレイク。

マスクやスーツに頼らないでも、自前の糸で変幻自在。

ドローンによる空撮が追いつけない、本当のヒロインが誕生した。



スピンオフ

「スパイダーウーマンの逆襲」も大ヒット!



「ボス、臨時ボーナス出ますよね」


「ダメだ、トコウニの方で赤字が出てるんだ。

寝言ほざいてないでもっと働け!」

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