ネコ娘

第6話、ネコ娘

「あのー」


「はい、いらっしゃいませ」


「仕事がほしいんですけど」


「では、こちらの用紙にご記入をお願いします」


「私みたいな者でも雇ってもらえるんですか」


「ネコ娘というだけでも、メイドカフェとかの求人がありますから大丈夫ですよ」


「……はい、書けました」


「拝見いたしますね。

ヤマネコ瞳さんですね。

種族:ネコ娘、23歳、独身。

ネコへの完全変身は不可。

特技は夜目が効いて、ネコと同等の身体能力。

風俗系は不可ですね。

少しお待ちください」


カチャカチャカチャ


「あっ、これなんか如何でしょう。

真田様という大名が忍者を募集しています」


「忍者ですか……」


「佐助という老人が、腰を痛めてしまったので、その後任ですね。

要件としては、身が軽く、城への侵入が可能なこと」


「それって、危険な仕事ですよね」


「ええ、その代わり、保険完備で遺族手当も支給されます。

もしも、徳川を倒すことができたら、特別褒賞として小判20枚、1千万円相当ですね。

ただ、名前は佐助を継承してもらうことになりますので、表面上はヤマネコさんの名前は出ません。

一年契約で、前金で小判4枚。200万円が支払われます」




こうして、私は、真田家に仕えることになりました。

お城への侵入なんて楽なものです。

赤外線センサーとか、サーチライトとかないんですから。

徳川でも忍者を雇っていましたが、私から見ると素人ですね。

塀までジャンプすることもできないし、手裏剣なんて当たるわけないですよ。


正直なところ、敵の殿様を暗殺しろと言われれば、毒を飲ませるとかいくらでもできたんですけど、そういう指示は来ませんでした。

私の役目は、情報収集と、敵方にいるお兄さんとの連絡係です。


それで、結局大合戦になって、真田勢は全員討ち死にとなります。

私は前夜指示を受けており、合戦には参加せずに後はお兄さんの元で働くよう言われていました。


みなさん、覚悟の討ち死にだったんですね。

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