第5話、警察犬の活躍

空き巣発生です。


細かい指示ができれば楽勝なんです。

家族全員の持ち物を出してもらって、それ以外の匂いを追跡すればいいんです。

ところがアルファは家の二階に上がり、ベランダのところで吠えます。


「係長」


私はベランダを指さします。


間抜けな空き巣は、物色中に家人が帰ってきて逃げられなくなり、ベランダに身を潜めていました。


活躍のチャンスだったのに……


でも、年末になるほど空き巣の件数は増えます。

アルファと私は、何件もの空き巣の犯人を突き止めます。


ある時、管轄内で誘拐事件が起こりました。

アルファと私は、車で連れ去られたと思われる場所までは追跡できました。

普通はここまでです。


でも、ここからが私の本領発揮です。

24時間以内程度なら、車の匂いだって追跡できるんです。

同僚に協力してもらって、パトカーの中で裸になり、オオカミに変身します。


後ろからパトカーに追従してもらい、匂いを追いかけます。


住宅街を抜けて港エリアへ。

私は走ります。


そしてついに一つの倉庫を突き止めます。

私はパトカーに戻り、人間の姿になって服を着ます。


あとは応援を呼んで、完全に倉庫を包囲してから突入。

無事誘拐犯を拘束し、子供を保護することができました。


「アルファの能力に問題がないことはわかった。

これからは、職員の能力向上に協力してほしい」


「はい。その前に、犬たちにボーナスをあげてください」


「ボーナス?」


「半生焼肉の調味料なしです。

頑張ったらご褒美をあげるって、彼らと約束したんです。

あっ、肉は安いのでいいですから、その分、月一回くらいお願いします」


「お安い御用だ」


こうして、私は警察犬指導課職員として勤務を続けています。

多分、定年まで……私、寿命は300年なんですけど、定年って何歳なんでしょうか……

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