第2話、オレオレ詐欺を許すな!

トゥルル


「はい、遺失物係時任です」


「こちら、尻手駅前派出所です。

今、お婆さんが見えられて、どうもオレオレ詐欺に引っかかって50万円振り込んじゃったみたいなんです。

ちょうど3時間くらい前なので、取り消せるものなら取り消したいそうなんですが……」


「いいですよ、本庁ここからですと1時間くらいかかりますね。

最大5万円くらいかかりますけど、それで良ければそちらに向かいます」


「10万まででしたら支払うそうです」


「でしたら、どこで操作したか確認して、所定の受付表に記入してもらってください。

すぐに向かいますから」


「よろしくお願いします」


「係長、オレオレ詐欺の被害が出ましたので、尻手駅前の派出所へ向かいます」


「おう、初仕事ですね頑張ってください」


こうして私は電車を乗り継いで尻手駅に向かいます。


4時間前にジャンプするには、2回連続でジャンプする必要があります。


尻手駅前派出所に着いた私は、顔写真入りの資料を確認。

証拠の振込票も添付されています。


私は2回ジャンプして5時間前に飛びます。


「おわっ」


5時間前の巡査さんは、当然事件のことを知りません。

突然現れた私を見てびっくりしています。


「遺失物係の時任と申します。

5時間後に、この派出所にオレオレ詐欺の被害届が出されました。

振込される前に被害を防止しますので一緒に来てください」


書類一式を見せると巡査さんは納得してくれました。


「今朝、本部長から紹介のあった方ですね。

署内サイトで確認しています」


こうして、オレオレ詐欺は未然に防止できました。

お婆さんには派出所まで同行してもらい、状況を説明して5万円を受領いたします。

当然、領収書も発行しました。


私は時間を調整して本庁に戻り事件解決を報告します。


5時間前の私とは電車ですれ違ったことになります。


「うん、自分でこのアイデアを提出しておいて何だが、これは画期的だよな」


「私もお役に立ててうれしいです。

でも、犯人逮捕につながるような仕組みは作れないんですかね」


「ああ、僕もそこを考えてた、電話番号の着信履歴から、携帯の会社を通じて連絡役は逮捕できるかもしれないね。

刑事課の方と調整してみるよ」


オレオレ詐欺の被害は減ってきたとはいえ、県下で月に1から5件発生しています。

署長さんから私への課題は、これをゼロ件にすること。

とはいえ、数日たってしまったものをどうするか問題です。

私は、最大で10万円でいいのではないかと提案し、採用されました。

その代わり、半年の被害をゼロにできたら、公務員採用です。


具体的な目標ができた私はやる気にあふれています。

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