第5話

その後宿に戻り、部屋の中の荷物を確認し忘れ物が無いことが確認できた後、チェックアウトをした。そしてそのまま案内所に寄り周辺の情報を手に入れ、丁度時間に昼になるぐらいに馬車のおじちゃんが馬車に乗って入り口の邪魔にならないところで待っていてくれた。そして私達は重い荷物を積み、購入したものが全部あるか確かめた後、しっかりと積荷を固定して出発した。街を出るときは本人確認だけで大した時間もかからないためすんなり出ることができた。街に入る時のように並んだりするわけでは無い。


「さてと、まあ、え~周辺情報は相変わらず安全と言うわけではなかったけど、なにか起きても大体は私が対応するから問題ないとして、せっかく皆仲良くなったことだし、もうちょっと役割分担しよっか」


と言って彼女はいきなりメモ帳…なんか手のひらに乗るぐらいの青を主としつつも大理石のような薄い板を出した。まるで昔…で見たことがあるスマートフォn


「えーっと朝食の時の準備、夕飯の時の準備、寝床の設置と片付けをだね…当番制で二人づつやってもらおうかな?」


「あの、来るときみたいに…やっぱり村にはよらないのですか」


「そうだね、村の近くを通る事はあっても基本アーネまでは食料とかの買い出し以外は基本よらないかな。できるだけ最短で行くよ。それに途中で食える魔物やモンスター見っけたら狩るしね。そのためのスモークチップは前からそこに入れてあるし。それにルート的に食料は十分すぎるほど確保できるはず。おじちゃんもそれで良かったよね?」


最後彼女は少し大きな声でおじちゃんの方を向き確認を取る。するとおじちゃんは、そこそこ長い付き合いだ。お前のことは信用してるからそれでいいと言ってきた。この二人の仲は一体。


「ということで決めようか!」


ということになった。始めは指導という名目でアイナさん必ず含む3人で回すとのこと。そして男の子・女の子、私・女の子、私・男の子の組み合わせを順番で回して4つの仕事を行うことになった。まあ、そのせいで一班だけ一日二回仕事しなければならなくなったが。そしてそれを彼女は石の板の上で全力で動かしていた。本当にスマ…考えないほうが良さそうだ。とそんな事を考えていたら、彼女はこちらの目線に気がついたのかこっちを見て笑みを見せた。ただ、何を考えていたかは流石にわからないはず。



--------------



その後3日が過ぎた。決められた当番に従い与えられた役割もこなした。彼女は本当に家族に接するように私達と居てくれる。そして彼女いわくこれからモンスター・魔物共に出やすくなるとのこと。ここに来る途中討伐者ギルド所属と思わしき体を鍛え上げた獣人の五人パーティーが戦っているのを遠目に見たが私達が加勢することもなくと売りすぎた。彼女いわく横取りはご法度らしいし、相手からしたら私達はただの護衛なしで危ないところを進む一般人状態だからだ。まあ、アイナさんいわく彼女は戦えるらしい。弱いからいつも力を借りてるとかなんとか言っていたが私達には理解できないことかなにかなのだろう。


「あれはこっちに狙い定めてるかな」


そういきなり馬車に座ったままアイナさんは真剣な表情で一点を見つめる。もちろん風よけの布が張ってあるので外は見えないが確実にその一点を見つめる。


「おじちゃん、そのまま進路変えずに速度維持。あなた達は一応なにかにしがみついていてね」


と彼女は言うと席を立ち、馬車の最後尾に。そして飛び降りた。その瞬間彼女はこう言っていた。


「ミーナ…力貸して」


そうそして着地した瞬間には彼女はまるで居なかったかのように消えた。


「おう、やっとるの」


そう言うおじいちゃん。私達はそういうおじいちゃんの見つめる方向が見えるところまで移動して、おじいちゃんのじゃまにならないように外を見る。するとアイナさんが途轍もなく強大な大魔法を駆使し大型なモンスター3体を相手していた。


突如遅れて聞こえてくる衝撃音と衝撃波。相手に相手にしているのはこの馬車の高さの4倍はある手が6つある魔物だ。目が逆三角形に3つ。下側の目はとても大きく上2つは小さい。体型はそれぞれ違うが鍛え上げられた体を持ったやつが二体。少し体が丸いのが一体。それ以外は髪が無いなどあるが人形の魔物だ。アイナさんの放つ魔法を魔法で相殺しようと全力で魔法を放つ少し丸い体の個体は今にも押し負けそうだった。そして、すでに一体は地面に倒れ込んでおり、もう一体は丸い個体が爆風に飛ばされないように後ろから体を支えていた。その鍛え上げれた力をアイナさんに向ける事なく片手に持っている超巨大な刀はただの装飾となり、一方的に攻撃を受けているようにしか見えない。そしてアイナさんは完全に今までに見たことが無い笑顔をしていた。遠目でもわかるそのにたついた笑みは、とても恐ろしかった。そして楽しんでいるようにも見えた。彼女はその笑みのまま一方的に相手の魔力切れをするまで魔法を撃ち続ける。相手は打つ手が無く程なくし魔法の相殺ができず魔法を食らった。魔力が尽きたのだろう。そして彼女は止める事なくそのまま数発魔法を相手に叩き込む。多分全部で40発以上は全く同じ大魔法を行使していたのでは無いのだろうか。それはまるでAランク並の大魔法特化型の討伐者のような魔力を持っていると言っても過言では無いような魔法の行使の仕方だ。衝撃波が収まりまともに目が開けられるようになったとき彼女は平然とこちらに帰ってきた。あの魔法の戦いで周りにあったあの魔獣よりも背の高い木はかなりの数消えていた。そもそも無事なのは少ない。そしてあの魔獣たちは消えていた。強制的に魔石にでもする時間を早めたのだろう。


「収穫あったかい?」


おじちゃんがそう言うとアイナさんは


「巻き込まれで死んでた野うさぎとかそんなんかな。あと食べれそうな草食系の魔獣ぐらい。まあ、回収はしたし、いいんじゃないかな。次の休憩て加工するよ」


と彼女は汚れてすらない服を払うふりをして馬車に乗ってくる。


「ミーナが非番で助かったよ」


誰ですかそれはとは突っ込まない。馬車は一回彼女を乗せるために止まったが、結局それ以外はあの衝撃波の中でも停まることなく進み続けた。大した馬だなと思った。



-------------



さて、そんな私達だが、すでにコレジシアこくのアーネが見えるところまで来いる。もうすでに4週間が経っている。かなり中も良くなり皆彼女の事を慕っている。相変わらずおかしな人だが信用はできる人だと思った。そしてこの旅は彼女の予定道りに進んだらしく村によることもなく現地で食料と水を調達することができていた。なので出費はほぼないらしい。


「街に付いたら移動手段はどうするのですか?」


ここ数週間で女の子の言葉使いもかなり良くなっている。まあ、もともと私達奴隷なんて言葉遣いはご主人さまが仕込むものだし当然と言えば当然だ。


「まあ、前から作ってたものができてるはずだからソレで移動するよ」


「なんだい、もう馬車はお役ゴメンってか」


「まあ、まだ馬車がメインだと思うけどね。というより馬車のほうがまだ全然便利だよ。まだね」


「そうかい、そうかい」


おじいちゃんはなにか知ってる様子でなんとなく上機嫌なようだ。


「お泊りするんですよね」


と男の子は質問するが


「いや必要な物を買ったら即出発だよ。まあ、風呂は入るけどね。流石にリフレッシュはしておきたい」


そう言うと彼女は自分の肌を指先で擦る。


「あ、私汚くならないんだった!(*ノω・*)テヘ」


そう、この人何やら女神様の加護のようなもの大量に持ってるらしく、多分すべての女性が羨むような物がほとんどらしい。あと今のはうざい。

まあ、皆はしっかり体洗おうねって言って終わったあたり素の頭はあんまり強くないんだろうなってここ何週間も暮らしていてわかる。だって明らかに話噛み合わなかったり一瞬で物事忘れてたりしてるもん。

 ちなみにあの怯えていた男の子はどこかに消えました。今私達が見ているのは、アイナさんの力が自分たちに向かないと確信して尻尾をフリフリしている男の子です。尻尾無いけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る