第2話 オレたちのまちち・パブ・謎

検問を抜け『オレのまちち』に入ると、そのまま馬車は『オレのまちち ソウゴウあんないじょ』の馬車駐車場に停まる。アイナさんはそのまま「待っててね」と私達にいうと案内所の中に入っていてしまった。私と一緒に買われた二人はアイナが居なく成った途端に話し始めた。


「なぜあの人は私達に絶対服従の契約をしなかったのでしょうか」


そう言ってきたのは今まで一言も話さなかった女の子のほうだった。


「わからない…」


彼ら二人は完全に足を抱えたまま顔を伏せている。私も同様だ。その状態で彼女が来るまで私達は何も喋らない。


「たっだいまー!」


そう彼女の声が聞こえた。顔を上げるとすでに彼女は案内所での話を御者にしたようで


「御者のおっちゃんにも話したけど、明日の昼50時に出発するから、私達は案内所の裏側の宿に行くよ?」


そう言うと彼女は小さなかばんを持ち「ほらほら、俯いてないで行くよ?」と手を来い来いと動かす。私達は怖いぐらい常に笑顔の彼女についていく。馬車を降り、案内所の前を通り抜け右側の整備された道を通ると、本当に裏には隣接した宿がある。案内所がちょうど交差点の角に建っていた感じだった。


彼女は宿の入口で、足を引っ掛け大きな音を立てて転ぶ。確かに二段の階段にはなっているが、何というのだろうか…あまりにも不注意ではないか。転ぶ前は入り口ではなく宿の右手の風俗店を顔見していたぐらいだ。


「いい立地の店だ」


は特に周りの目を気にせず立ち上がる。何を見て立地がいいというかは謎である。もしかして風俗点『オッパブパブ』がるからってわけでは無いよね?


その後、彼女とともに宿に入った。彼女は四人部屋一つと御者の部屋を一泊分借りると、そのまま部屋に向かう。部屋は3階で階段から一番遠い奥の大きい部屋だった。部屋は入ると正面には横長の窓と机。机の上にはちょっと大きめな卓上鏡がおいてあり、左右の壁には2段ベットが一つずつ。合計で四人分のベットが用意されている。好きなベット使っていいと言われたが、私達3人は動かない。契約が本当でも人によって意味や捉え方は違うからだ。『家族のように』と言っていたが、彼女が言った普段の家族の接し方次第で意味は変わる。普段から使用人とに暴力を奮っていれば、それが普段の家族への接し方だ。私達は奴隷になってからそのような契約をしてそれが目の前で行われたのを見たことだって何度だってある。だからこそ余計怖いのだ。何も知らない彼女のが…。


「そんなに怖がらないでよ…。もーー。私暴力とか振るわないよ?ね?」


そう言いつつも躾と称してムチで体のいたる所に傷を大量に付けられていた奴隷仲間を何人も見ている。彼女は俯いている私達を、困った顔で下から覗き込んでくる。


「そんなに怖いの?私のこと」


その言葉が聞こえた瞬間、私達は一瞬の寒気を覚えた。お仕置きと称して…


「仕方がないな~も~。あなた達を買った理由…言えば少しは警戒説いてくれる?」


この言葉に男の子が「はっ…はい…」と、とても小さな声で答える。


「まあ、無理もないか…」


彼女はなんて答えようかな?という仕草をして話しだす。


「と、いうことで私の名前はアイナ・ブルー・クライス。今年で500歳。一応今は猫人族やってます。私の出身は『コレジシアこく』で、今は国王相談役やってるので、やろうと思えば国王しばけます。ちなみに私の容姿いま、身長155cmでカップはB!髪型はロングヘアでこのように水色の髪の毛ですが、こーんな感じで自由に容姿変えれるし、種族も変えれます。…どう?」


彼女は大人っぽくした容姿を元の猫人族に戻すと私達を子供のように目を輝かせて見てくる。


そして結果は…当然のごとく男の子は震え、女の子は全力で動揺し、私は頭の中で?が飛び交っていた。


まあ簡単に言えばおえらいさんで金持ち。そして意味不明の三点セットの存在が私達の買い主ということになる。


「まあ、そんなに怖がらなくても、私の屋敷の使用人として生活してもらうために買っただけだから、安心してね。あ、そうそうこのあとご飯お金渡すからこいつと一緒に食べてきてよ。その後服でも買って部屋でゆっくりしていてくれればいいから」


と彼女は言ってきた。喋り終わると彼女は『分身』といい魔法を行使する。当然そこに出てきたのは彼女と容姿が全く同じ…めちゃくちゃ怯えた彼女だった。


「目立って…ごめんなさい…社会のゴミで…ごめんなさい…入り口でつまずいてごめん…なさい…視界に入って…」


出てきてそうそううずくまり、私達以上にビクビク震えて居る。


「じゃあ私、御者さんに鍵渡してからオッパブパブ行ってくるからあとよろしく!」


と言って私達四人(?)を残して部屋を出ていった。


「ああ、やだ死にたい…」


頭を抱えうずくまってしまった彼女?はいつの間にか入り口右側の2段ベット上で布団をかぶって震えていた。

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