決着と正体

 そうして始まったゲームは少年が圧勝をしました。

 勝負が決着すると少女は叫びました。

「どうして、どうして私はいつも大事なところで勝てないの」

 少年は少女を抱きしめると

「もういいんだ、眞尋。もうやめて帰ろう。みんなのいるところに」

そう言いました。少女は諦めて手を下ろそうとしていた瞬間。

「ああ、もう終わりだ」

グサッ

「うっ」

 突然後ろにいた青年が少女にどこからか持ってきた剣で突き立てました。青年は眼鏡を抑えると

「ごっこ遊びはもう終わりだ。これからは本当の征服ってやつを見せてやるよ」

そう言い青年は女王様に突き立てた剣を抜くと血を払いました。少女からは血が広がっていきました。

「眞尋! 眞尋! しっかりしろ!」

少年に抱えられた少女は

「私のことはいいから先生を助けてあげて、」

そう言い気を失いました。

「先生を助ける?どういうことだ?」

少年は何が起こっているのかわけがわからずにいました。すると青年が

「こういうことだ」

パチン(指を鳴らす音)

と何かを準備させました。

 召使が何かを押して持ってくると

「おまたせいたしました。」

そう言い、かぶせられていた布を外しました。

 そこには檻があってその中には1人の女性が入れられていました。

少年は目を見張りました。

「院長先生!」

 そうです。そこにいたのは2人が暮らしていた孤児院の院長が捕まっていました。

 少年は思い切り叫びました。

「どういうことだ!なぜ彼女がここにいる!」

 それを見ていた青年は

「簡単だよ、少年。彼女は選ばれたんだ。お前が抱えているそいつを脅すための人質にな」

 そう言い、持っていた剣で檻の中の院長に突き立てました。

「あーーー」

 院長の絶叫が響き渡ります。

「まあ、こんなものか。」

 青年は満面の笑みで院長を刺した剣の血を払いました。

「きさま‼‼‼‼」

 少年は憎しみに満ちた顔を青年に向けました。

「いいね、その顔。知ってるか?お前が孤児院を出た後、2人とも苦労をしてたんだぜ?俺はそこにアドバイスをしただけだぜ?」

「ゆるさない、お前を許さない‼‼‼」

「いいぜ、かかってきな。第2ラウンドの始まりだ!」

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