第18話🔹悪者達のその後
◆ゲニデス・ブレイバッハ子爵の場合
ゲニデスはアデルム・ブレイバッハ公爵の
三男で有ったが
王都での度重なる婦女暴行事件を繰り返し
流石に隠し推せる事が出来なくなり
ライドニック辺境伯に頼み込み
名誉子爵として辺境伯爵領に赴任させていた
辺境伯領での生活態度も酷いもので
良くトラブルを起こし
ライドニック辺境伯が尻拭いをしていたが
今回は大いにマズかった
オマケに現行犯
証拠の魔導具の映像まで残され
違法餌用奴隷までも礼司に保護されてしまい
多額の慰謝料まで請求される始末だ
そして被害者で有る俺は
国王陛下までも後見人に付くのではと
話しが進んでいた
それも未だ未接見の段階なのにだ
此処まで来ると流石にブレイバッハ公爵でも
焦るし庇い切れない
一旦訴追されれば
今まで隠れいた罪が表沙汰になり
次々に被害者達が浮上して来る事だろう
そんな中ブレイバッハ公爵は
商人により素早く情報を得た事で
早馬を従えライドニック辺境伯領を訪れ様としていた
一本道ですれ違った公爵と辺境伯
公爵と辺境伯の格は同格だ
公爵は辺境伯の話しを聞き
ゲニデスがとんでもない相手を襲い
返り討ちに有った事を知った
公爵)「そんな凄い少年に手を出したのか
陛下への報告を怠る訳にはいかん
最早慰謝料を払い
切り捨てるしか無いか?」
アイ)「それだけの実力を有した人物
報告を遅らせる訳には………」
公爵)「相分かった………………」
アイ)「儂がお主にしてやれる事は
儂と同席してレイジ殿の後見人なる事だ
陛下の心象も多少は変わるだろう
今回無傷のワイバーンを陛下に納める為
儂は王都に向っておる
話しは儂が上手く纏める
どうだ一緒に?」
公爵)「感謝する
同道致そう
少し肩の荷が下りたぞ
然し世の中は広いな~」
アイ)「儂とお主の仲じゃ
悪い様にはせん
それに儂とお主が後見人になれば
下手に我が国の貴族達も手が出せん
恐らくは陛下も後見人に名を連ねると思う
そしてルードニアとアスバニアにも陛下が声を掛けるだろう
擦れば多少は中央帝国と聖王国も手が出し辛くなる」
公爵)「感謝する
有り難う
でっ無傷のワイバーンは
一体どうしたんだ?」
アイ)「レイジ殿が14頭纏めて倒した
それも瞬殺だった
証拠の映像はレイジ殿が持つ魔導具で儂自身も確認したよ」
公爵)「ワイバーン14頭無傷で瞬殺とは
お主の言葉で無ければ信じ無かったぞ
その様な少年が野に埋もれていたとは」
アイ)「彼が持つ
移動用住宅に泊まり込んだ
まあ〜何と云うか凄いとしか言えん
会い辛いだろが今度紹介しよう
そして問題のゲニデスだが
奴隷落ちさせる方向に話しが進むだろ
下手に死罪にすると他貴族達が反発するし
下野させると何を仕出かすか分からん幾ら排斥したからと言って
お主の心象も悪くなる
被害者心情も考え
鉱山送りにし事故死させるしか無い!」
公爵)「あ〜ぁ
お主の言う通りじゃ
そうする!」
後日大凡の判決が出たため
ゲニデスは犯罪奴隷として
鉱山送りなったのだが
後から後から被害者が湧き出て
公爵は持ち別荘の全て手放す事になった
当のゲニデスは日々罪が重くなり続け
当惑し続ける毎日だったが
本人は此処に来てやっと
自身が結構拙い状態なのではと漸く考え始めていた
そしてゲニデスは泣き喚きながら
許しを請うたが公爵は面会すらしなかった
まさか本人も会え無いとは
思ってもいなかった事だろう
完全に捨てられてしまった様だ
看守)「お前泣き喚いてばかりで
バカじゃねえの
毎日うるせーんだよ
お前の仕置書見たがスゲーな
お前の脳味噌中身はキンタマだろ!」
ゲニデス)「キサマーーーッ!!
誰に向かって口を効いておる!
儂は子爵だぞッ!!」
看守)「此奴ホントバカだな………
お前この鉱山死んでも出れねえよ
それにお前は悪質な連続通り魔じゃねえか
俺もこんだけ凄い
ヤりまくりの罪人始めて見た
超有名な盗賊以上なんだもんな」
ゲニ)「………………」
看守)「あっ、鉱山長だ、珍しい」
鉱山長)「お前がゲスですか〜っ♪」ニヤリ
ゲニ)「ちがーーーーーう!!
ゲニデスだーーーーーっ!!」
鉱山)「おーっ元気で結構
明日から此奴は最前線に回せ!」
看守)「ハッ!
そう手配致します!」
鉱山)「そうだゲス
家族から俺個人に嘆願書が来ておる
ゲスの親父さんとは昔からの顔見知りでな
嘆願書見るか?」
破顔するゲニデス
鉱山)「父母祖父祖母長男次男からの連名だ
どれ!儂が読んでやろう
サッサと苦しめて殺してくれだ」
ゲニ)「ウッ!ウソだーーーーーっ!!
そんなのウソだーーーーーっ!!」
看守)「プッ」
鉱山)「嘘なもんか
ホレ自分の目で確認しろ!
封蝋もちゃんと確認しろよ」
ゲニデスは奪う様に手紙を手にした
其処には見紛う事なき父の筆跡と花押の封蝋が押されていた
余りにもショックで
腰砕けになってしまったゲニデス
周りの声さえ聞こえ無くなっていた
看守)「お前1年命は保たないな
明日から最前線頑張れよ」
放心したゲニデスには
もう何も聞こえ無かった
◆ゲニデスに雇われていた傭兵達の場合
パーティ名は荒野の用心棒
ライドニック辺境伯領傭兵ギルド所属
リーダーがサイロガでSランク
エロババの魔導師の名はアスカリ
傭兵ギルドランクB
元々サイロガの情婦
警備隊隊長)「結論から云うと
傭兵ギルドは資産没収の上クビだそうだ
そしてお前達五人は全員鉱山送りだ」
サイ)「俺達は
ゲニデスから命令されただけだ」
隊長)「ゲニデスが
お前達にやらせてた事を
全てボロボロと全部吐き出している
大人ならやって良い事と悪い事の判断くらいは出来るだろ
ともかくお前達を金に替え
ギルドは被害者達に少しでも慰謝料代わりに支払いをしたいらしい
それとお前達が襲った未成年から伝言だ
お前等弱いクセに強い振りするなカスだ
ちゃんと伝えたからな
あっ!忘れてた
その少年
翌日ワイバーン14頭を無傷で瞬殺
辺境伯様、冒険者ギルド、商業ギルドに
1頭づつ寄付してたぞ」
サイ)「奴は何者だ!」
隊長)「商業ギルマスの弁だと
普通の治癒師らしいぞ」
サイ)「そんな治癒師が居るかーーっ!!」
隊長)「それは知らん
元々が商業ギルマスの知人らしいぞ
それに国王も含め全員が
正式な後見人になるそうだ
お前達は飛んでも無い相手に手を出した
うちの騎士団の中にも
何人かが世話になった者達もおる
余り騒がないで大人しくしてろ
決して此処が安全だとは思うな
その連中は直ぐにお前達を殺しに掛かる」
サイ)「騎士如きが俺を殺す?」
隊長)「お前達は
何も知らんだろうが
あの騎士達は少年の師から
手ほどきを受けておるし
訓練メニュー自体も一新した
お前もそれなりの腕らしいが
あの少年の仲間内での剣技は魔法を除き
未だ六番手くらいらしい
その少年にお前達は簡単に
瞬殺された事を忘れるな!」
サイ)「………………………」
◆冒険者ブリーケス達の場合
ドストル)「お前等良くもやってくれたな
ギルドや俺達に恥かかせやがって
辺境伯様もお前等には怒り心頭だ
キッチリ全員資産没収のうえ
鉱山奴隷落ちだ!
安心しろ
自分の資産が無くても家族から取り立てる
既に警備兵が差押えに動いてる」
ブリーケス)「まっ待ってくれ
家族は関係無いだろ!」
ドス)「駄目だ!
お前達が擦り付けを行なった相手は
辺境伯様と国王様が後見人だぞ
見せ締めのため慰謝料を含め厳しくキッチリ取り立てる」
ブリーケスは顔が青くなり
それでも家族の事が心配なのか
相当落ち込んだ様子だ
擦り付けで捕縛されたのは
冒険者パーティの竜の牙の五名
荷物持ち三名
馭者三名の都合11人だ
まあ〜竜の牙以外は資産没収の罰金刑だろ
竜の牙の五名は資産没収のうえ
奴隷落ちは間違い無い
馭者達はたぶん罰金は支払えるが
荷物持ちは先ず無理だろう
家族に資産が有るのかな?
ドス)「ブリーケスはせっかく家を建てたばかりなのにあ~気の毒だ〜~
と棒読みしてみたぞ
他のメンバー四人と馭者とポーターに資産が無ければ
リーダーのブリーケスから徴収する
残った分は家族に払い戻す」
その後家と生活の糧を失った家族は
奥さんの実家に戻る事になった
ブリーケスも家を建てた時は
自信満々だったのだろうに
一瞬にして仕事、家族、家を失い
目が死んでしまった
鉱山行きの馬橇が出発する時
パーティメンバーを見送る者は誰もいなかった
そして自分の人生が終わった事を夫々が理解した
だがこのブリーケス悪運が強いと云うか
落石により怪我をし奴隷紋部が
抉り取られてしまい効力を失い
後に脱走してしまうのだ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
🔹マークは閑話、幕間としてお読み下さい
時々封入しますので宜しくお願いします
m(_ _)m
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