第6話海堂陽香と月羽音先生

週明け、月曜日。

一限目が始まる前の休み時間、隣にいる月羽音先生からひしひし圧を感じる。

「水無瀬くーん、どうかな、進捗は。進んでるの?」

周りに聞かれまいとおさえめの声を耳もとで囁いてくる。

「通いつめるのはだめでしょうから、進捗が進んでるわけないでしょ。家には入れました。すんなり。そこまでだけど......」

「そう......先生の何がいけなかったのかしら。先生には無くて、水無瀬君にあるもの......」

「その容姿で......いてぇっ」

考え込んでいる月羽音先生に事実を突きつけようとしたところで強めに踏みつけられた。あまりの痛さに声をあげてしまう。

「あっれぇ~こんなとこに未来の旦那と美彩ちゃんがいる~。仲よしぃ~」

後ろからからかう声がした。

「旦那って呼ぶなよ、陽香」

「教師にちゃん付けしない、おチビ陽香ぁ~」

俺と月羽音先生は息を合わせ、からかってきた女子に言葉を返す。

「仲よしぃ~、おチビ言うなっ、美彩ちゃん。似たようなもんでしょーがっ」

「もういっぺん言ってくれるぅーかなぁっ!おチビ陽香ぁ~」

むきになって、感情を抑えようとしているが抑えられず低い声を出し、襲いかかろうとする。

俺は、月羽音先生を取り押さえようとするが、女子も言い返され、怒りを露にする。

「また言ったー、チビ美彩のくせにぃー」

掴み合いが始まり、押さえきれなくなった俺。

「落ち着きなよ。二人とも」

仲裁にはいったのは倉瀬だった。

「「いったぁっ!」」

頭を小突かれた二人は引き剥がされた。

「可愛い陽香の頭がバカになったらどうしてくれんのっ、夏菜ぁ~」

返事をせず、倉瀬は席に戻っていく。

月羽音先生が教室を出ていったのに気づいた陽香が追いかけていく。


一限目が始まり、俺の口からため息が漏れた。


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