第5話カフェでの会話

カフェは落ち着いた雰囲気で、入りにくいことはなかった。

席に案内され、椅子に腰掛けるとメニューを渡される。

俺は、ハムエッグサンドと小さいサイズのメロンパフェ、レモンティーを注文し、彼女は俺より量が多いメロンパフェとアールグレイを注文した。

「部活、やってるよね。今日はオフなの、高篠さん」

「はい......そうです」

「......」

会話が続かない。話しかけにくいか、俺って。

テーブルにお冷やとおしぼりが置かれ、沈黙が続くなか、彼女はおしぼりで手を拭き俯く。

「高篠さんは、カフェに行くことって多いの」

「私は多いと思います。カフェにいると落ち着くので好きです」

「俺も好きなんだ、カフェ。いいよね、カフェ。笹木野さんとも行くの。それとも一人で」

「......っ。みーちゃ、良くみてますね、水無瀬君。一人でカフェに行くことが多いです。仲がいいですけど......」

彼女の表情が曇る。

注文した品がテーブルに運ばれた。

「いただきます」

「いただきます」

彼女はスプーンでメロンの果肉を掬い口に運ぶ。彼女の頬が少しゆるむのに気付く。パフェは、メロンの果肉がごろごろ入っていた。

俺は、ハムエッグを口に運び、咀嚼する。ティーカップに口をつけ、レモンティーを啜る。

「水無瀬君、聞いてもいいですか?」

彼女は、表情を窺いながら訊ねる。

「いいよ、何を聞きたいの」

「部活のことを聞かせてほしい......何で部活をやめてしまったのか聞きたくて......」

「人間関係がぎくしゃくしてやめたってとこだよ......深くはね......そんな顔しないでいいよ」

彼女は小さく謝り、アイスを食べる。

その後も当たり障りのない会話を続ける。

会計を済ませ、降りた駅に向かい電車に乗車した。俺の肩に頭をのせてきた彼女。可愛い寝息をたてている。

クラスメートと打ち解けると良いけど、そう思いながら流れる景色を眺める。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る