第4話いつもと変わった雰囲気の高篠志奈
土曜日。
電車に揺られながら、スマホを触っていた。顔をあげるとショートカットの茶髪の女子が気になった。ひとまわり大きい黒のパーカーを着てジーンズを穿いていて、灰色のキャップを被っている女子。一瞬わからなかったが見覚えのある顔だった。
「高篠さんだよね。そういう格好するんだ」
「えっ、水無瀬君っ!そ、そう......です」
文庫本から顔をあげると驚いて返事をする彼女。
目が泳いで、戸惑う彼女。
俺達のいる車両は空いているので、気にせず話しかけた。
「隣いいかな。高篠さん」
「えっ、ええっと、私の隣なんかに座るんですか?き、きんちょ、うして......いっ、いいです、よ」
彼女の隣に座る。
「てっきり、女子らしい可愛いのを着てるものだと思ってたよ。意外でつい声をかけたんだ。似合ってるよ、高篠さん」
「あ、ありがとう......ございます。水無瀬君。声をかけてもらうなんて思いもしませんでした。どちらまでですか、水無瀬君」
「新しくできたカフェにね。高篠さんは」
「私もなんです」
「カフェでも話そうよ。いいかな」
「は......はい」
彼女は、ぎこちない笑みを浮かべ、控えめな声で返す。
電車を降りるまで無言が続く。
電車を降り、改札を通り抜け、駅を出る俺達。
20分ほど歩き、カフェに到着した。
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