第2話倉瀬夏菜はクラスの中心の女子

翌日。

二人の男子と話していると肩を叩かれ、挨拶が聞こえた。

「湖詠、おはよう。二人もおはよう。叱られた、昨日は」

「おはよう。違うって、いつものあれで」

挨拶を笑顔で返す。

「「おはよう、倉瀬......さん」」

二人の男子も、ぎこちなく返す。

「ああー、大変だね。昼にでも教えてよ」

「わかったよ」

倉瀬は友達の会話に入りにいく。

倉瀬夏菜はクラスの女子の中では、慕われている。クラスメートは逆らえないまではいかないが、気を張っている。人あたりが良くて、常に笑顔の女子。


一限目が始まる前に月羽音先生に呼ばれ、一言だけ言って教室から出ていった。

頬杖をつきながら、授業を受ける。


昼休み。

「何でもするね、先生は。私もへたなことできないよ。ばらされたくないし、あのこと」

倉瀬も弱みを握られているらしい。声のトーンは変わらなかった。

「安戸先生が担任のほうが良かったな。そう思わない?」

「私は、橘先生かな。放課後に行くんでしょ、楽しみにしてるよ。明日は早く来るよ」

クリームパンを頬張る彼女。

「うまくいくとは思わないけど。はぁー」


欠伸をかみ殺しながら、午後の授業を聞いた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る