第11話

オクの村に帰ると、冒険者の館に行った。


「こんにちは」

翔たちはゴブリンを倒したことを告げた。

「早いね」

「それで、これなんですが」

翔が結婚式の招待状を見せると、館の主は渋い顔をした。

「レイシアさんと翔が一緒にミスティ王国に戻るのかい? 」

「そのつもりですが」

レイシアがそう答えると館の主は首を振った。


「もう、ミスティ王国へは戻らない方が良い」

「なぜですか? 」

「レイシアと翔はドラゴン退治の旅にでたと、お触れが出て居るぞ」

「そんな!? 」


レイシアと翔は同時に声を上げた。

ドラゴン退治なんて初耳だ。


「なんでも、宮殿に伝わる伝説の武器をもって、旅に出たってきいてるぜ」

「伝説の武器・・・」

翔は今は銅の剣になっている伝説の剣をじっと見た。

レイシアは結婚式が気になってしょうがないと言った様子だった。


「まあ、ミスティ王国とウィンディ王国は昔から仲が良かったからな」

館の主はそういうと、ゴブリン退治の報奨金を翔に渡した。

とりあえず、翔とレイシアはオクの宿に泊まることにした。


「レイシアさん、結婚式に行くのは危険です」

「ああ、わかってる」

そう言いながら、レイシアは結婚式の招待状を見ていた。

「ところで、ドラゴン退治って何でしょう? 」

翔はレイシアに問いかけた。


レイシアは言った。

「言い伝えによると、ミスティ王国の伝説の武器が輝くとき、北の大地に封印されたドラゴンが目覚めるらしい」

「へえ」

翔はどこか他人ごとのように話を聞いていた。

「翔の剣が、伝説の武器でまちがいないとおもうのだが」

「でも、僕ドラゴンと戦えるほど強くないですよ」

「そうだな」


レイシアは難しい顔でため息をついた。

「追放されたってことだな」

「そうですね」

翔もため息をついてから、レイシアに聞いた。

「これからどうします?」

「結婚式を避けて、北に向かおうと思う」

レイシアがそう言うと翔は真面目な顔で頷いた。

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